環境アセスメントにおける民間の参加は、米国の『国家環境政策法(NEPA)』(1969)で最も早く示された。同法律は環境アセスメントの過程で影響を受ける者の意見を注意深く聴取すべきであると提起している。国連環境計画(UNEP)は1978年に打ち出した環境アセスメントの基本プロセスの中で、民間の参加を通じて、地域社会或いは彼らの代表に開発・建設活動がもたらす負の影響を知らしめることを明確に規定している。世界銀行は1981年、民間の参加を世界銀行の方策の一つとして実施するとし、あわせてその『業務指令(OD)』の中で、影響を受ける群体と非政府組織(NGO)を「民間」とし、世界銀行融資プロジェクトの環境アセスメントに参加することと規定している。アジア開発銀行も1993年、同行の融資プロジェクトの環境アセスメントにおける民間参加問題を規定した。
90年代初め、わが国は環境アセスメントにおける民間参加の推進を開始、最初は世界銀行とアジア開発銀行の融資プロジェクトにおいて実施された。1993年、国家発展計画委員会、国家環境保護総局、財政部、中国人民銀行が共同で公布した『国際金融機関の融資による建設プロジェクトの環境アセスメント・マネジメント業務の強化に関する通知』の中で、初めて民間参加に関する明確な要求が提起された:「民間参加は環境アセスメントにおける重要な構成部分であり、『報告書』は専門に章節を設けて説明を加え、影響を受ける可能性の高い民間若しくは社会団体の利益が考慮および補償されるようにしなければならない」。この『通知』の中で挙げられている「民間参加」にはプロジェクト所在地(区、県)の人民代表、政治協商会議委員、民間団体、学術団体、(都市の)住民委員会、村民委員会の代表の意見と提案の聴取が含まれ、プロジェクト所在地(区、県)の人民代表大会、政治協商会議或いは民間団体など、影響を受ける地域の民間の意見を諮問するとされている。
民間参加はわが国の環境関連法における基本的な規定である。1996年に改正された水汚染防止法第十三条は、環境影響報告書には建設プロジェクト所在地の各種組織・団体と住民の意見がなければならないと規定している。これに続いて『環境騒音汚染防止法』でも同様の規定がなされた。1998年、国務院で採択された『建設プロジェクト環境保全管理条例』でも、建設プロジェクトについては、所在地の各種組織・団体と住民の意見を聴取するように定められている。
目下のところ、具体的な法律規定の欠如により、わが国の環境アセスメントにおける民間参加の普遍性と深度は未だ先進国の基準に達していない。建設プロジェクトは通常、建設前に大衆に向けて公布されることはなく、公聴会形式も備わっておらず、報告書は非公開である。環境アセスメントの過程において、アンケートの配付、個別訪問による大衆の意見の収集が行われるのみであり、また、専門家の意見、地方の意見も民間の意見と見なされる、若しくはハイレベルの民間参加と見なされる。総じて言うならば、民間参加は更なる発展が待たれる。
『環境影響評価法(草案)』では民間参加の奨励が提起されており、主に以下の方面での配慮がなされている。
1.環境保全は全国民が共同で参加する一つの偉大な事業である。国民の関心と参加は環境保全活動を確実に展開する上での根本的な原動力であり、保証である。1996年7月16日、江沢民総書記(当時)は第4回全国環境保護会議の演説で次のように指摘した: 「多くの幹部と大衆はいずれも環境意識を高めるべきであり、環境保全に積極的に参加しなければならない。また、広報・教育と社会世論の監督機能を十分に発揮させなければならない」。民間の参加を通じて、環境アセスメントの中で、民間の意見と提案を十分に反映させることが可能であり、これによって、民間利益をより良い形で保護し、環境保全への民間の参加を促し、民間の環境意識および環境保全に対する積極性の向上を図ることができる。
2.わが国は社会主義国家である。国家のすべての行動は根本的に言うならば、すべて国民の利益のためである。中国共産党は歴史唯物主義から出発し、マルクス主義の大衆の観点と路線を堅持し、すべて国民のために、誠心誠意国民に奉仕するものである。これは我々の事業が成功を勝ち取るための根本的な保証である。環境アセスメントにおける民間参加の実施は、党と国家の一貫した路線と原則に合致するものであり、それはまた、環境アセスメントという分野における我々共産党と国家の大衆路線の徹底でもある。
3.政策、計画および開発・建設プロジェクトの環境アセスメントの過程における民間参加の実施は、政府の政策決定面での民主化を大いに推進し、社会の各方面の利益と見解が政策決定過程の中で十分に考慮されるようになり、環境に対する負の影響によってもたらされる可能性のある社会矛盾を解決することができる。他国の経験からも分かるように、環境アセスメントにおける民間参加は政府による政策決定の民主化を促進し、各方面の利益のバランスを取る上でも有効な手段である。
4.環境アセスメント自体もまた一つの科学的な政策決定過程である。国民は往々にして、周囲の環境について、専門家が把握し難い情報や知識を持つ。民間参加により、関係部門および団体・組織は環境アセスメントの過程で、より全面的に環境を理解、認識することができる。そして、多くの潜在的な環境問題の提示、環境アセスメントの科学性と照準性の向上が図られ、これによってセンシティブな保護対象が効果的に保護され、政府の政策決定における科学性がより一層高まる。
(全国人民代表大会環境・資源保護委員会法案室)
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