概 要
2003年、我が国の経済は急速な発展を遂げ、鋼鉄、電解アルミ、セメントなど9種の重要な工業原材料の生産が大幅に拡大し、電力、石炭などはエネルギー供給不足となっている。エネルギー使用量、汚染度の高い産業の急速な発展が、環境に大きな影響をもたらしている。
一部産業における加熱経済がもたらした環境汚染は、各種環境保全対策の許容量を超越した。主要工業汚染物質、特に排ガス中の二酸化硫黄(SO₂)、ばい塵、粉塵の排出量は、ここ数年の減少傾向から一転して大幅な増加となり、2003年のこれら物質の排出量は前年に比べそれぞれ、14.7%、5.2%、8.5%の増加となった。工業廃水排出量は同比2.5%増加となり、化学的酸素要求量(COD)の排出量は12.3%減少、アンモニア性窒素排出量は4.0%減少した。また、固形廃棄物の排出量は、同比26.3%の減少となった。
都市化の加速に伴い、生活及びその他汚染物質の排出量も、ある程度増加傾向にある。2003年の汚水排出量、化学的酸素要求量(COD)、アンモニア性窒素排出量は前年に比べ、それぞれ6.6%、5.0%、3.0%の増加となった。二酸化硫黄排出量は同比0.7%増加し、ばい煙は2.9%減少した。
2003年、工業二酸化硫黄の排出基準達成率は前年のレベルを基本的に維持し、工業廃水の排出基準達成率は、前年に比べ0.9ポイント増加、生活汚水処理率は3.5ポイント増加した。
環境対策対策においては、建設プロジェクトの環境アセスメント制度の実施率、当年の汚染対策プロジェクト実施数、完成したプロジェクト数、自然生態系保護区域及び生態系モデル地区・機関の面積は何れも前年に比べ増加した。環境対策を支える措置としては、各種環境法規が相次いで打ち出され、環境保全陣営は引き続き拡大された。環境保全における投資は、政府、企業、社会、外資など環境保全投資ルートの多元化が大きく貢献し、環境対策において優れた効果をもたらした。2003年、全国における環境汚染対策向け投資は、前年に比べ19.4%増加し、同年の国内総生産(GDP)の1.39%を占め、2002年の1.33%に比べやや増加となった。
1. 統計対象企業の基本状況
2003年、全国の重点統計企業に指定されている工業企業6万9,904社に統計表を配布し、統計作業を行った。その他非重点統計企業の汚染物質の排出量については、比率に基づき推算した。
重点統計企業の工業総生産額は7兆1,000億元(時価計算)、企業内で専門に環境保全業務に従事する者は16万8,000人だった。これら企業に設置されている廃水対策施設は6万5,000台、除去されたCODなど汚染物質は1,079万t、投入された設備運営費は197億元で、前年に比べ8.8%の増加となった。約190億tの工業廃水が、6万2,272ヵ所の汚水排口(うち、1,115ヵ所は海に直接排出する汚水排出口)を通じて環境中に排出された。使用中の工業ボイラーは8万4,000台、工業炉・かまどは8万4,000台で、13万7,000ユニットの廃ガス対策設備が据え付けられ、設備運営費として前年に比べ2.7%増加の151億元が投入された。これら対策設備によって除去されたばい塵は1億5,649万t、粉塵は5,995万tで、うち脱硫設備1万9,660ユニットが749万tの二酸化硫黄を除去した。
2. 廃水
2.1 全国の廃水及び主要汚染物質排出状況
1)全国の廃水排出状況
2003年の全国廃水排出総量は460億tで、前年に比べ4.7%増加した。
表1 全国の廃水及びその他主要汚染物質排出量の比較
項目
年度 |
廃水排出量(億t) |
COD排出量(万t) |
アンモニア性窒素(万t) |
合計 |
工業 |
生活 |
合計 |
工業 |
生活 |
合計 |
工業 |
生活 |
1998年 |
395.3 |
200.5 |
194.8 |
1495.6 |
800.6 |
695.0 |
- |
- |
- |
1999年 |
401.1 |
197.3 |
203.8 |
1388.9 |
691.7 |
697.2 |
- |
- |
- |
2000年 |
415.2 |
194.3 |
220.9 |
1445.0 |
704.5 |
740.5 |
- |
- |
- |
2001年 |
433.0 |
202.7 |
230.3 |
1404.8 |
607.5 |
797.3 |
125.2 |
41.3 |
83.9 |
2002年 |
439.5 |
207.2 |
232.3 |
1366.9 |
584.0 |
782.9 |
128.8 |
42.1 |
86.7 |
2003年 |
460.0 |
212.4 |
247.6 |
1333.6 |
511.9 |
821.7 |
129.7 |
40.4 |
89.3 |
増減率(%) |
4.7 |
2.5 |
6.6 |
-2.4 |
-12.3 |
5.0 |
0.7 |
-4.0 |
3.0 |
注:増減率は2003年の2002年との比較、以下同様。
工業廃水の排出量は212億tで、前年に比べ5億2,000万t増加し、2.5%増となり、廃水排出総量の46.2%を占めた。
生活汚水の排出量は248億tで、同比15億3,000万t増加し、6.6%増となり、廃水排出総量の53.8%を占めた。
工業廃水、生活汚水排出量の増加率は共に前年を上回り、生活汚水排出量は大幅な増加となった。両者の廃水排出総量に占める割合はそれぞれ1ポイントずつ、生活汚水が上昇し、工業廃水が低下した。

図1 全国の廃水排出量の年度別比較
表1、図1より、工業廃水は生活汚染に比べ、その排出量の増加幅はここ数比較的緩やかとなっており、主に生活汚水の排出量の増加が廃水排出総量の増加を招いている。
2)全国の化学的酸素要求量(COD)排出状況
2003年の廃水中のCOD排出量は1,334万tで、前年に比べて2.4%減少した。
工業廃水中のCOD排出量は512万tで、同比72万t減少し、12.3%減となり、COD排出総量の38.4%を占め、その割合は引き続き低下している。
生活汚水中のCOD排出量は822万tで、同比39万t増加し、5.0%増となり、COD排出総量の61.6%を占め、前年の割合を上回った。

図2 全国のCOD排出量の年度別比較
表1、図2より、1999年以来、生活汚水中のCOD排出量がCOD排出総量に占める割合は引き続き上昇している。2003年全国の生活汚水処理率は25.8%で、国の「第10次五カ年計画」における環境計画目標(処理率45%)とは尚大きな隔たりがあり、生活汚水中のCOD排出対策は非常に困難な状態にある。
3)廃水中のアンモニア性窒素の排出状況
2001年、廃水中のアンモニア性窒素の排出量は130万tで、前年に比べ0.7%増加し、その増加幅は前年度を下回った。うち、工業廃水中のアンモニア性窒素の排出量は40万tで、同比4.0%減少し、アンモニア性窒素排出総量の31.1%を占めた。生活廃水中の排出量は89万tで、同比3.0%増加し、同総量の68.9%を占めた。
4)全国の廃水中のその他汚染物質排出状況
2003年における、工業廃水中の石油類の排出量は2.4万tで、前年並みであった。工業廃水中のその他有害汚染物質(水銀、カドミウム、六価クロム、鉛、砒素、揮発性フェノール、シアン化物)排出量は4,000tで、うち水銀、鉛、砒素の排出量は前年に比べ大幅な増加となり、近年の減少傾向から一転した(表2、図3参照)。水銀、鉛、砒素を排出する主な産業には、非鉄金属工業、化学工業、鉄金属工業、非金属鉱物製造業、電力産業などがあり、何れも同年急速な発展を遂げたエネルギー、原材料関連業種である。
表2 全国の廃水中のその他有毒有害汚染物質排出量年度比較 単位:t
項目
年度 |
水銀 |
カドミウム |
六価クロム |
鉛 |
砒素 |
1998年 |
12.2 |
158.2 |
234.0 |
1063.8 |
844.1 |
1999年 |
10.9 |
163.2 |
117.6 |
778.3 |
672.6 |
2000年 |
10.1 |
138.5 |
119.7 |
655.2 |
578.7 |
2001年 |
5.6 |
110.5 |
121.4 |
489.9 |
408.4 |
2002年 |
4.8 |
105.6 |
111.1 |
484.8 |
346.2 |
2003年 |
5.5 |
84.5 |
103.1 |
568.5 |
373.7 |
増減率(%) |
14.1 |
-20.0 |
-7.2 |
17.3 |
7.9 |

図3 工業廃水中の重金属5項目の過去数年における排出傾向
2.2 地域別廃水及び主要汚染物質排出状況
1)地域別廃水排出状況
2003年、廃水排出量の多い地域のトップ3位は、前年と同じく、広東省、江蘇省、浙江省だった。これに、山東省、河南省、湖南省、湖北省、四川省、広西チワン族自治区が続き、これら9地域のCOD排出総量は263.2億tとなり、全国廃水排出量の57.3%を占めた。工業廃水排出量の最も多い地域は江蘇省で、生産汚水排出量の最も多い地域は広東省だった(図4参照)。

図4 地域別廃水排出量状況
2)地域別化学的酸素要求量(COD)排出状況
COD排出量が60万tを超える地域は順に、広東省、四川省、広西チワン族自治区、山東省、湖南省、江蘇省、河南省、河北省、湖北省で、これら9地域のCOD排出量は全国COD排出総量の54.2%を占めた。工業COD排出量の最も多い地域は広西チワン族自治区で、生活COD排出量の最も多い地域は広東省だった(図5参照)。

図5 地域別COD排出状況
図6より、東部沿海地域の広東省、浙江省、江蘇省における工業・生活COD排出濃度は何れも全国平均を下回った。四川省の工業・生活COD濃度は何れも全国平均を上回り、湖南省の生活COD排出濃度は最も高く、この2地域における生活汚水処理率は全国平均水準を約10ポイント下回っている。広西チワン族自治区の工業COD排出濃度は最も高く、これは同自治区で比較的発達している製糖業といくらか関連があると思われる。全国のCOD排出量の分布は、図7を参照。

図6 廃水重点排出地域におけるCOD濃度の比較

図7 全国COD排出量の分布
3)地域別アンモニア性窒素排出状況
アンモニア性窒素排出量が6万tを超える地位は順に、広東省、湖南省、河南省、山東省、湖北省、江蘇省、四川省、浙江省、遼寧省、河北省で、順位は入れ替わったものの何れも前年にも列挙された省である。これら10省のアンモニア性窒素排出量は75万2,000tで、全国アンモニア性窒素排出量の58.2%を占めた。工業アンモニア性窒素排出量の最も多い地域は浙江省で、生活アンモニア性窒素排出量の最も多い地域は広東省だった。(図8参照)

図8 地域別アンモニア性窒素排出状況
廃水排出量の多い地域では、広西チワン族自治区を除き、その他8の地域で生活アンモニア性窒素の排出濃度が工業アンモニア性窒素排出濃度を上回った。広東省、浙江省の2省の生活アンモニア性窒素排出濃度は何れも全国平均を下回った。図9参照。

図9 主要廃水排出地域のアンモニア性窒素濃度の比較
2.3 工業業種別廃水及び主要汚染物質排出状況
1)工業業種別廃水排出状況
2003年、統計が行われた41業種のうち、廃水排出量の多い上位4業種は順に、製紙業、化学工業、電力業、鉄金属・冶金で、これら4業種の廃水排出量は、統計が行われた主要廃水排出量の61.4%を占めた。図10参照。
図10 工業業種別廃水及びCOD排出状況
2)業種別化学的酸素要求量COD排出状況
前年と同じく、2003年のCOD排出量の多い上位4業種は依然製紙業、食品・タバコ加工及び食品・飲料製造業、化学工業、紡績業だった。
表3 主要業種別CODの汚染寄与率の推移 単位:%
業種 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
製紙業 |
43.2 |
43.8 |
40.8 |
35.3 |
34.5 |
食品・タバコ加工及び食品・飲料製造業 |
24.3 |
24.7 |
20.5 |
23.0 |
22.3 |
化学工業 |
8.2 |
7.4 |
9.3 |
10.5 |
10.8 |
紡績業 |
5.3 |
5.9 |
4.8 |
5.7 |
5.6 |
累計 |
80.9 |
81.8 |
74.9 |
74.6 |
73.2 |
注:汚染寄与率は、該当業種のある汚染物質排出量が、統計中の同汚染物質(ここではCOD)の排出総量に占める割合を指す。以下同じ。
表4 主要業種別経済寄与率の推移(総生産額に基づく) 単位:%
業種 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
製紙業 |
2.2 |
2.3 |
2.3 |
2.2 |
2.4 |
食品・タバコ加工及び食品・飲料製造業 |
11.6 |
11.3 |
10.3 |
10.2 |
10.1 |
化学工業 |
9.1 |
9.6 |
9.2 |
7.8 |
9.5 |
紡績業 |
6.6 |
6.1 |
5.6 |
5.0 |
4.8 |
累計 |
29.5 |
29.3 |
27.4 |
25.2 |
26.8 |
注:経済寄与率は、ある業種の工業生産額(現価)が、統計中の総生産額(現価)に占める割合を指す。以下同じ。
表5 主要業種別COD排出強度の推移 単位:t/万元
業種 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
製紙業 |
0.332 |
0.249 |
0.168 |
0.121 |
0.094 |
食品・タバコ加工及び食品・飲料製造業 |
0.035 |
0.029 |
0.019 |
0.017 |
0.014 |
化学工業 |
0.015 |
0.010 |
0.010 |
0.010 |
0.007 |
紡績業 |
0.013 |
0.013 |
0.008 |
0.009 |
0.008 |
注:排出強度は、ある業種或いは地域の汚染物質排出量が、相当する範囲内の統計中の工業総生産額(現価)に占める割合を指す。以下同じ。
表3~5が示すとおり、製紙業はCOD汚染寄与率がトップとなり、その経済寄与率は4業種のうち最低であるが、COD排出強度は最大であった。しかし、ここ5年の推移を見ると、製紙業は健全な発展へと進みつつあり、そのCOD汚染寄与率と排出強度は明らかに減少した。この他、化学工業のCOD汚染寄与率は徐々に上昇傾向にあり、繊維業の経済寄与率が徐々に低下しつつある。主要業種のCOD排出強度は軒並み低下しつつある。(図11)

図11 主要業種のCOD排出強度の推移
3)業界別アンモニア性窒素排出状況
2003年、主要統計企業中のアンモニア性窒素排出量の上位4業種は、化学工業、農業副産品加工業、製紙業、食品製造業で、上位4業種が主要統計企業のアンモニア性窒素排出総量の70.9%を占めた。うち、化学工業と製紙業の占める割合は、前年に比べやや減少し、食品製造業は前年度の水準を維持した。図12参照。

図12工業業種別アンモニア性窒素排出状況 図13三峡地域の廃水排出構成
2.4 三峡地域に流入する廃水及び主要汚染物質の状況
2003年、三峡地域(ダム地域、その影響を及ぼす地域及び上流地域の計276区・県を含む)に流入した廃水は35億tで、前年に比べ1.5%増加した。うち、工業廃水が20億tで、前年に比べ1.5%増加し、生活汚水は15億tで、同比1.3%増加した。表6、図13参照。
三峡地域のCOD排出量は122万tで、前年に比べ3.2%減少した。うち、工業CODが55万t、生活CODが67万tで、前年に比べそれぞれ2.7%、3.7%減少した。
三峡地域のアンモニア性窒素の排出量は8万tで、前年に比べ4.2%増加した。うち、工業アンモニア性窒素が2万t、生活アンモニア性窒素が6万tで、前年に比べそれぞれ11.3%、1.4%増加した。
三峡地域では、四川省の廃水、COD、アンモニア性窒素排出量が最も多く、前年とほぼ同水準だった。重慶市、貴州省、雲南省、湖北省がこれに続いている。表6、図14参照。
表6 三峡ダム地域及びその上流における主要汚染物質排出状況
区域 |
省・市 |
廃水排出量
(億t) |
COD排出量
(万t) |
アンモニア性窒素排出量(万t) |
合計 |
生活 |
工業 |
合計 |
生活 |
工業 |
合計 |
生活 |
工業 |
ダム地域 |
湖北 |
0.19 |
0.10 |
0.09 |
0.28 |
0.03 |
0.25 |
0.04 |
0.00 |
0.03 |
重慶 |
9.06 |
5.40 |
3.66 |
17.53 |
7.59 |
9.94 |
1.80 |
0.78 |
1.02 |
合計 |
9.25 |
5.50 |
3.75 |
17.80 |
7.62 |
10.18 |
1.82 |
0.78 |
1.04 |
影 |
湖北 |
0.09 |
0.02 |
0.07 |
0.26 |
- |
0.26 |
0.04 |
0.01 |
0.03 |
響
地
域 |
重慶 |
3.87 |
2.57 |
1.30 |
7.55 |
3.27 |
4.28 |
0.73 |
0.30 |
0.43 |
四川 |
3.15 |
1.83 |
1.32 |
13.29 |
5.88 |
7.41 |
1.13 |
0.48 |
0.65 |
貴州 |
0.18 |
0.05 |
0.13 |
1.01 |
0.35 |
0.66 |
0.06 |
0.01 |
0.05 |
合計 |
7.29 |
4.47 |
2.82 |
22.11 |
9.51 |
12.60 |
1.96 |
0.81 |
1.15 |
上
流
地
域 |
重慶 |
0.29 |
0.19 |
0.10 |
0.43 |
0.11 |
0.32 |
0.05 |
0.02 |
0.03 |
四川 |
14.30 |
8.37 |
5.93 |
66.28 |
36.35 |
29.93 |
3.28 |
0.81 |
2.47 |
貴州 |
3.26 |
0.93 |
2.33 |
12.41 |
0.86 |
11.55 |
1.11 |
0.12 |
0.99 |
雲南 |
0.94 |
0.46 |
0.48 |
3.11 |
0.56 |
2.55 |
0.21 |
0.01 |
0.20 |
合計 |
18.79 |
9.95 |
8.83 |
82.23 |
37.88 |
44.35 |
4.66 |
0.97 |
3.69 |
総計 |
35.31 |
19.92 |
15.41 |
122.16 |
55.01 |
67.15 |
8.44 |
2.56 |
5.88 |

図14 三峡ダム地域、その影響を及ぼす地域及び上流地域分布図
2.5 重点流域に流入する廃水及び主要汚染物質の状況
2003年、我が国の長江、黄河、珠江、松花江、「三河三湖[1]」の10大流域の主要工業企業5万3,051社を対象に統計を行った結果、統計企業総数の76%が前年と同水準だった。表7参照。
重点流域に流入する廃水、COD、アンモニア性窒素の排出量が全国の排出総量に占める割合は、何れもいくらか減少した。
重点流域に流入する廃水は358億tで、前年に比べ2.0%増加し、全国廃水排出総量の77.8%を占めた。工業廃水は147億tで、同比1.0%増加し、69.3%を占めた。生活汚水は211億tで、同比2.1%増加し、85.0%を占めた。図15参照。
表7 重点流域に流入する廃水及び汚染物質の状況
流域
名称 |
廃水量(万t) |
COD(万t) |
アンモニア性窒素(万t) |
総計 |
工業 |
生活 |
総計 |
工業 |
生活 |
総計 |
工業 |
生活 |
遼河 |
11.5 |
4.2 |
7.3 |
39.9 |
8.3 |
31.6 |
4.5 |
0.4 |
4.1 |
海河 |
36.7 |
16.0 |
20.7 |
113.4 |
50.2 |
63.2 |
10.8 |
4.4 |
6.4 |
淮河 |
35.7 |
13.2 |
22.5 |
96.4 |
23.7 |
72.7 |
12.3 |
3.4 |
8.9 |
巣湖 |
2.4 |
0.7 |
1.7 |
5.6 |
0.9 |
4.7 |
0.7 |
0.2 |
0.5 |
太湖 |
25.9 |
10.6 |
15.3 |
44.6 |
9.6 |
35.0 |
4.3 |
1.0 |
3.3 |
テン池 |
1.6 |
0.3 |
1.3 |
4.0 |
0.2 |
3.8 |
0.2 |
- |
0.2 |
長江 |
163.9 |
72.5 |
91.4 |
481.5 |
134.9 |
346.6 |
44.6 |
13.2 |
31.4 |
黄河 |
39.5 |
15.7 |
23.8 |
143.3 |
57.7 |
85.6 |
15.8 |
5.2 |
10.6 |
珠江 |
54.1 |
19.4 |
34.7 |
138.1 |
54.4 |
83.7 |
10.3 |
3.0 |
7.3 |
松花江 |
16.3 |
6.3 |
10.0 |
68.0 |
18.5 |
49.5 |
6.7 |
0.6 |
6.1 |
合計 |
357.7 |
147.3 |
210.4 |
1080.6 |
347.7 |
732.9 |
105.0 |
30.2 |
74.8 |
注:合計には「三湖」のデータは含まない。

図15 重点流域に流入する廃水の状況
重点流域に流入するCOD量は1,081万tで、前年に比べ1.1%減少し、全国COD排出量の81.1%を占めた。工業CODは348万tで、同比0.5%減少し、67.9%を占めた。生活CODは733万tで、同比1.5%減少し、89.2%を占めた。各流域に流入するCODの状況は図16を参照のこと。

図16 重点流域に流入するCODの状況
図17から分かるように、重点流域の中でも、太湖、巣湖、テン池のCOD平均濃度は流域の平均レベルより低く、CODのみで見ると、「三湖」に流入する水質は比較的良好である。珠江、黄河、海河流域に流入する排水中の工業COD濃度は生活CODより高く、このためこれら流域の汚染対策においては、流域の工業企業の整備と監督に引き続き重点を置かなければならない。その他流域では、生活COD濃度が工業CODより高くこれら流域の水質に与える影響が大きいことから、都市汚水処理場の建設と管理を強化しなければならない。

図17 重点流域に流入する排水中のCOD濃度の状況
重点流域に流入するアンモニア性窒素排出量は105万tで、前年に比べ4.5%減少し、全国アンモニア性窒素排出量の80.9%を占めた。うち工業アンモニア性窒素は30万tで、同比2.3%減少となり、74.3%を占めその比率は前年に比べ2.3ポイント上昇した。生活アンモニア性窒素は75万tで、同比5.3%減少し、84.2%を占め6.8ポイント低下した。図18参照。

図18 重点流域に流入するアンモニア性窒素の状況
図18と図19から分かるように、流域のアンモニア性窒素汚染は主に生活汚水によるもので、全ての流域において生活汚水中のアンモニア性窒素排出量と濃度共に工業廃水を上回っている。特に、松花江と遼河では、生活汚水中のアンモニア性窒素排出濃度が工業の数倍にも達している。

図19 重点流域に流入する排水中のアンモニア性窒素濃度の状況
2.6 重点流域における廃水処理状況
2003年、重点流域の汚水処理場は406ヵ所となり、前年に比べ85ヵ所増加した。また、その汚水処理能力は1日あたり2,285万tで、同比516万t増加した。都市部の生活汚水処理率は21.3%で、前年より9ポイント近く上昇したものの、依然全国平均水準を下回っている。うち、遼河流域の都市部生活汚水処理率は最低で、わずか6.0%だった。
2003年に重点流域で計3,303件の工業汚水処理プロジェクトを実施し、全国工業廃水処理に関する建設プロジェクト総数の72.2%を占めた。廃水処理への投資総額は68.0億元で、全国工業汚染廃水処理投資総額の77.8%を占めた。工業企業の廃水排出基準達成率は90.3%で、前年に比べ1ポイント上昇し、全国平均レベルを1ポイント上回った。
表8より、重点流域の廃水処理における投資比率はCOD流入比率とほぼ同レベルで、工業廃水処理の投資が比較的バランスを保っていることが分かる。うち、海河、淮河、太湖の投資比率が相対的にやや高く、これはこれら重点流域における国の対策強化とある程度関係していると思われる。
表8 重点流域に流入する工業COD比率と廃水処理投資比率の対比
流域名称 |
工業COD比率(%) |
廃水処理投資比率(%) |
遼河 |
2.4 |
2.8 |
海河 |
12.4 |
18.1 |
淮河 |
7.0 |
9.2 |
巣湖 |
0.3 |
|
太湖 |
2.8 |
6.2 |
テン池 |
0.1 |
0.1 |
長江 |
39.7 |
30.6 |
黄河 |
17.0 |
18.3 |
珠江 |
16.0 |
16.4 |
松花江 |
5.4 |
4.6 |
2.7 「三河三湖」工業業種別汚染排出及び対策状況
1)遼河
遼河の主な汚染産業(流域のCOD寄与率累計70.0%以上の業種)は、製紙業、医薬製造業、飲料製造業、鉄金属・製錬工業、農業副産品加工業、食品製造業で、前年に比べ、食品製造業が工業製造業に取って代わり、遼河の主な汚染産業となった。これら6つの主要汚染業種の遼河におけるCOD寄与率は73.2%で、アンモニア性窒素は35.4%、うち経済寄与率は30.6%だった。表9参照。
表9 遼河流域の主要汚染産業の経済と汚染寄与率 単位:%
業種 |
経済寄与率 |
COD汚染寄与率 |
アンモニア性窒素寄与率 |
製紙業 |
0.5 |
24.6 |
2.0 |
医薬製造業 |
2.0 |
12.3 |
3.0 |
飲料製造業 |
1.7 |
10.8 |
7.1 |
鉄金属・製錬工業 |
22.6 |
10.3 |
12.3 |
農業副産品加工業 |
2.5 |
8.5 |
8.4 |
食品製造業 |
1.3 |
6.7 |
2.6 |
累計 |
30.6 |
73.2 |
35.4 |
遼河流域の工業廃水対策設備の処理能力は前年に比べ20.2%増加し、工業廃水の排出基準達成率は89.6%と、前年に比べ0.5ポイント上昇した。本流域における主要汚染産業の廃水対策設備の処理能力は1日あたり328万tで、本流域全体の廃水対策設備処理能力の75.2%を占めた。主要汚染産業の工業廃水の基準達成率は89.3%で、本流域全体の排出基準達成率を維持している。うち、製紙業と鉄金属・製錬工業の基準達成率は、前年に比べある程度低下した。
2)海河
海河流域の主要汚染産業は主に製紙業、医薬製造業、化学工業、電力業である。これら主要汚染4業種の海河に対するCOD寄与率は71.7%、アンモニア性窒素寄与率は61.6%、経済寄与率は21.6%だった。前年に比べ、食品製造業のCOD寄与率の低下が最も大きく、6.3%から1.9%に低下した。一方、電力業は前年の3.4%から5.7%に増加した。重点業種上位3位は前年と同じだった。表10参照。
表10 海河流域の主要汚染産業の経済と汚染寄与率 単位:%
業種 |
経済寄与率 |
COD汚染寄与率 |
アンモニア性窒素寄与率 |
製紙業 |
1.8 |
34.3 |
19.6 |
医薬製造業 |
3.4 |
19.6 |
2.5 |
化学工業 |
9.5 |
12.1 |
38.6 |
電力業 |
6.9 |
5.7 |
0.9 |
合計 |
21.6 |
71.7 |
61.6 |
海河流域の工業廃水対策設備の処理能力は前年に比べ6.2%増加し、廃水対策設備の運営費用は3.4%増加した。工業廃水の排出基準達成率は95.1%と、同比1.6ポイント上昇した。主要汚染産業の廃水対策設備の処理能力は1日あたり890万tで、同比5.4%減少し、本流域全体の廃水対策設備処理能力の57.2%を占めた。主要汚染産業の廃水基準達成率は95.4%で、本流域全体の平均基準達成率をやや上回っている。うち、電力業の廃水排出基準達成率は、前年に比べやや低下した。
3)淮河
淮河流域の主要汚染産業は主に製紙業、化学工業、紡績業、飲料製造業で、前年と同じである。これら主要汚染4業種の淮河に対するCOD寄与率は71.3%、アンモニア性窒素寄与率は77.2%と、前年に比べそれぞれ2.8、6.6ポイント減少した。経済寄与率は37.5%で、同比13.7ポイント上昇した。うち、化学工業の淮河流域に対する経済寄与率は著しく増加し、前年の9.4%から今年は26.7%まで増加した。表11参照。
表11 淮河流域の主要汚染産業の経済と汚染寄与率 単位:%
業種 |
経済寄与率 |
COD汚染寄与率 |
アンモニア性窒素寄与率 |
製紙業 |
3.2 |
44.4 |
4.0 |
化学工業 |
26.7 |
15.9 |
70.2 |
紡績業 |
5.4 |
5.8 |
1.7 |
飲料製造業 |
2.3 |
5.2 |
1.2 |
合計 |
37.5 |
71.3 |
77.2 |
淮河流域の工業廃水対策設備の処理能力は前年に比べ7.2%増加し、廃水対策設備の運営費用は24.5%増加した。工業廃水の排出基準達成率は96.9%と、同比1.9ポイント上昇した。うち、主要汚染産業の廃水対策設備の処理能力は1日あたり794万tと、前年とほぼ同じで、淮河流域全体の廃水対策設備処理能力の70.2%を占めた。主要汚染産業の廃水基準達成率は94.4%で、本流域全体の平均基準達成率より2.5ポイント下回っている。
4)巣湖
巣湖流域の主要汚染産業は鉄金属・製錬工業、化学工業、電子設備製造業、製紙業だった。前年に比べ、非鉄金属・製錬工業と電気機械・器材製造業が本流域の4大主要汚染産業リストから外れた。これら主要汚染4業種の巣湖に対するCOD寄与率は75.8%、アンモニア性窒素寄与率は75.1%、経済寄与率は16.0%だった。その他重点流域と比べると、巣湖流域の汚染産業の経済寄与率は最も低くなっている。表12参照。
表12 巣湖流域の主要汚染産業の経済と汚染寄与率 単位:%
業種 |
経済寄与率 |
COD汚染寄与率 |
アンモニア性窒素寄与率 |
鉄金属・製錬工業 |
4.2 |
46.9 |
41.4 |
化学工業 |
4.8 |
16.3 |
27.8 |
電子設備製造業 |
6.4 |
6.6 |
5.5 |
製紙業 |
0.6 |
6.0 |
0.3 |
合計 |
16.0 |
75.8 |
75.1 |
巣湖流域の工業廃水対策設備の処理能力は前年の水準を維持し、廃水対策設備の運営費用は3.9%増加した。工業廃水の排出基準達成率は97.6%と、前年に比べ0.7ポイント低下した。主要汚染産業の廃水対策設備の処理能力は1日あたり55万tで、同比4.4%増加し、本流域全体の廃水対策設備処理能力の82.5%を占めた。主要汚染産業の廃水基準達成率は98.1%で、本流域全体の平均基準達成率をやや上回っている。
5)テン池
テン池の主要汚染産業は鉄金属・製錬工業である。前年に比べ、主要汚染産業における最も大きな変化は、タバコ加工業がリストから外れたことであり、そのCOD寄与率は前年の5.4%から1.5%に減少した。表13参照。
表13 テン池流域の主要汚染産業の経済と汚染寄与率 単位:%
業種 |
経済寄与率 |
COD汚染寄与率 |
アンモニア性窒素寄与率 |
鉄金属・製錬工業 |
22.3 |
80.4 |
86.7 |
製紙業 |
0.2 |
5.5 |
0.7 |
化学工業 |
2.1 |
3.0 |
4.4 |
合計 |
24.6 |
88.9 |
91.8 |
テン池流域の工業廃水対策設備の処理能力は前年に比べ2.5倍近く増加し、工業廃水の排出基準達成率は92.1%と、同比4.6ポイント増加した。主要汚染産業の廃水対策設備の処理能力は1日あたり51万tで、同比2.3%減少し、テン池流域全体の廃水対策設備処理能力の25.7%を占めた。主要汚染産業の廃水基準達成率は92.6%で、本流域全体の工業廃水の平均基準達成率をやや上回っている。
6)太湖
太湖流域の主要汚染産業は紡績業、化学工業、製紙業、鉄金属・製錬工業、電力業である。前年に比べ、電力業が食品製造業に代わり太湖流域の主要汚染産業となり、主要汚染産業の太湖流域のアンモニア性窒素寄与率が前年に比べ著しく低下した原因となっている(前年は77.8%だった)。表14参照。
表14 太湖流域の主要汚染産業の経済と汚染寄与率 単位:%
業種 |
経済寄与率 |
COD汚染寄与率 |
アンモニア性窒素寄与率 |
紡績業 |
11.6 |
31.1 |
11.0 |
化学工業 |
7.5 |
16.3 |
18.3 |
製紙業 |
1.5 |
11.7 |
2.0 |
鉄金属・製錬工業 |
17.8 |
8.0 |
3.5 |
電力業 |
3.2 |
4.1 |
1.6 |
合計 |
41.6 |
71.2 |
36.4 |
太湖流域の工業廃水対策設備の処理能力は前年に比べ9.3%増加し、工業廃水の排出基準達成率は98.1%と、前年に比べ0.6ポイント増加した。主要汚染産業の廃水対策設備の処理能力は1日あたり455万tで、前年に比べ8.7%増加し、太湖流域全体の廃水対策設備処理能力の83.2%を占めた。主要汚染産業の廃水基準達成率は98.6%で、本流域全体の工業廃水の平均基準達成率をやや上回っている。
2.8「南水北調[2]」東ライン事業沿線の廃水及び主要汚染物質排出状況
「南水北調」事業東ラインは途中、6つの省・直轄市の101の県(区、市を含む、以下同じ)を通過する。うち、天津市3県、河北省24県、江蘇省17県、安徽省4県、山東省43県、河南省10県である。図20参照。

図20 「南水北調」路線図
沿線の工業企業2,585社を対象に重点的な調査を行い、これら企業が排出した工業廃水は7億6,472万t、工業CODは21万t、工業アンモニア性窒素は2万t、その他の汚染物質は403tに上り、前年に比べそれぞれ5.1%、14.9%、36.6%、26.3%減少した。沿線各地域の工業廃水の平均排出基準達成率は95.7%で、同比2ポイント上昇した。
沿線の総人口は、6,908万8,000人で、うち都市の非農業人口が1,260万1,000人となっている。2003年の生活汚水の排出総量は6万3,467t、生活CODは26万t、生活アンモニア性窒素は3万tと、前年に比べそれぞれ7.7%、7.6%、10.3%減少した。表15参照。
表15 南水北調(東ライン)沿線の主要汚染物排出状況
地域 |
廃水(億t) |
COD(万t) |
アンモニア性窒素(万t) |
総計 |
工業 |
生活 |
総計 |
工業 |
生活 |
総計 |
工業 |
生活 |
天津 |
6,322 |
4,741 |
1,581 |
15,181 |
5,645 |
9,536 |
1,555 |
571 |
984 |
河北 |
13,314 |
6,495 |
6,819 |
62,638 |
31,914 |
30,724 |
6,930 |
3,047 |
3,883 |
江蘇 |
32,602 |
15,692 |
16,910 |
96,230 |
33,261 |
62,969 |
9,021 |
1,923 |
7,098 |
安徽 |
2,878 |
801 |
2077 |
10,280 |
1,520 |
8,760 |
1,076 |
54 |
1,022 |
山東 |
62,882 |
32,373 |
30,509 |
188,638 |
64,093 |
124,545 |
20,784 |
6,718 |
14,066 |
河南 |
21,941 |
16,370 |
5,571 |
94,353 |
74,192 |
20,161 |
5,319 |
3,027 |
2,292 |
合計 |
139,939 |
76,472 |
63,467 |
467,320 |
210,625 |
256,695 |
44,683 |
15,339 |
29,344 |
2.9 海に流入する陸上汚染源からの廃水及び主要汚染物質排出状況
2003年、海に流入する陸上汚染源からの汚染統計範囲を、我が国沿海の11省・直轄市の163県(区、市)とした。4つの海域に汚染物質を排出する工業企業9,162社に対して重点的に調査を行い、この数は全国の重点調査工業企業数の13.1%に当たる。
我が国の4大海域に流入する廃水排出総量は50億tで、前年に比べ5.5%増加した。うち、工業廃水の排出量は26億tで同比2.4%増加、生活汚水排水量は24億tで同比8.9%増加し、海に流入する廃水排出総量の48.7%を占めた。工業廃水の流入量が最も多いのは東海で、生活汚水の流入量では南海だった。表16、図21参照。
表16 2003年近隣海域における主要汚染物質流入状況
地域 |
廃水(億t) |
COD(万t) |
アンモニア性窒素(万t) |
総計 |
工業 |
生活 |
総計 |
工業 |
生活 |
総計 |
工業 |
生活 |
渤海 |
4.9 |
3.3 |
1.6 |
21.8 |
14.9 |
6.9 |
1.5 |
0.7 |
0.8 |
黄海 |
5.9 |
2.6 |
3.3 |
15.2 |
4.1 |
11.1 |
1.6 |
0.3 |
1.3 |
東海 |
19.2 |
12.6 |
6.6 |
36.3 |
12.0 |
24.3 |
3.3 |
1.0 |
2.3 |
南海 |
20.3 |
7.3 |
13.0 |
50.2 |
17.4 |
32.8 |
4.1 |
0.8 |
3.4 |
合計 |
50.3 |
25.8 |
24.5 |
123.5 |
48.4 |
75.1 |
10.5 |
2.8 |
7.8 |
4大海域に流入するCOD排出量は124万tで、前年に比べ2.8%増加した。うち、工業CODは49万tで同比6.7%減少、生活CODは75万tで同比10.1%増加し、COD排出量の60.8%を占めた。工業CODと生活COD流入量が最も多いのは南海だった。図21参照。

図21 4大海域に流入する陸上汚染源からの廃水とCOD排出状況
4つの海域に流入するアンモニア性窒素の排出量は11万tで、前年に比べ10.3%増加した。うち、工業アンモニア性窒素が3万tで同比15.1%増加、生活アンモニア性窒素は8万tで同比8.2%増加した。工業アンモニア性窒素の流入量が最も大きいのは東海で、生活アンモニア性窒素では南海となり、廃水流入状況と酷似している。
4大海域に流入するその他汚染物質の排出量は1,853tで、前年に比べ8.4%増加した。うち、石油類が1,773t、シアン化物が21トンだった。図22参照。
2003年の4大海域に流入する工業廃水の排出基準達成率は92.8%で、全国平均水準を3.6ポイント上回った。生活汚水処理率は12.0%で、同比5.0ポイント低下し、全国都市生活汚水処理率の平均値を大きく下回っている。

図22 4大海域に流入する陸上汚染源からのアンモニア性窒素とその他汚染物質の排出状況
以上より、4大海域のうち、南海に流入する排水量、COD、アンモニア性窒素が最も多く、東海がこれに続いている。石油類などその他汚染物質は東海が最も多く、渤海がこれに続いている。全体的には、東海に流入する汚染物が最も多く、黄海が最も少ない。
2.10 渤海に流入する主要汚染物質の状況
2003年、渤海海域に流入する廃水量は5億tだった。うち、工業廃水が3億tで前年に比べ5.7%減少、生活汚水は2億tで前年と同水準だった。CODは22万t、うち、工業CODが15万tと同比7.6%減少、生活CODは7万tと前年と同じだった。アンモニア性窒素は2万t、うち工業と生活アンモニア性窒素が各1万tで、前年と同水準だった。石油類などその他汚染物質は580tで、同比80.1%増加した。
渤海海域の工業廃水の排出基準達成率は94.5%と、同比3.3ポイント上昇した。渤海地域には都市汚水処理場が6ヵ所あり、都市生活汚水処理率は18.6%と同比4.3ポイント上昇し、全国平均水準を下回った。
2003年の環境統計データによると、直接渤海に排出される90%以上(計3万3,000t、同比500t減少)のCODは、主に製紙業、石油加工・コークス製造・核燃料加工業、非金属採掘・選鉱業から排出されたもので、そのウェートはそれぞれ84.9%、3.9%、3.5%だった。うち、製紙業のCOD排出量は3万1,000tで、主に河北省、山東省の2省に集中しており、特に河北省が94.4%と絶対的な割合を占めている。
直接渤海に排出される95%以上(計1,319t、同比976t減少)のアンモニア性窒素は、主に製紙業、石油加工・コークス製造・核燃料加工業から排出されたもので、そのウェートはそれぞれ77.1%、13.5%、6.6%を占めた。製紙業のアンモニア性窒素は、全て河北省の企業から排出されたものである。これより、渤海の環境保全に向けたモニタリング・対策の重点は河北省で、特に河北省の製紙業であると言える。
3.廃ガス
3.1 全国の廃ガス及び主要汚染物質排出状況
2003年、全国環境統計によると石炭消費総量は17億tで、前年に比べ13.3%増加した。うち、工業石炭の消費量は15億tで、同比15.4%増加。生活石炭消費量は約2億tで、ほぼ前年と同水準だった。
全国における工業廃ガス排出量は19万8,903億N㎥で、同比13.4%増加となった。廃ガス中の汚染物質排出状況については表17を参照のこと。
表17 全国における近年の廃ガス中の主要汚染物質排出量 単位:万t
項目
年度 |
二酸化硫黄排出量 |
ばい塵排出量 |
工業粉塵排出量 |
合計 |
工業 |
生活 |
合計 |
工業 |
生活 |
1998年 |
2,091.4 |
1,594.4 |
497.0 |
1,455.1 |
1,178.5 |
276.6 |
1321.2 |
1999年 |
1,857.5 |
1,460.1 |
397.4 |
1,159.0 |
953.4 |
205.6 |
1175.3 |
2000年 |
1,995.1 |
1,612.5 |
382.6 |
1,165.4 |
953.3 |
212.1 |
1092.0 |
2001年 |
1,947.8 |
1,566.6 |
381.2 |
1,069.8 |
851.9 |
217.9 |
990.6 |
2002年 |
1,926.6 |
1,562.0 |
364.6 |
1,012.7 |
804.2 |
208.5 |
941.0 |
2003年 |
2,158.7 |
1,791.4 |
367.3 |
1,048.7 |
846.2 |
202.5 |
1,021.0 |
増減率(%) |
12.0 |
14.7 |
0.7 |
3.6 |
5.2 |
-2.9 |
8.5 |
1)二酸化硫黄排出状況
2003年、全国の二酸化硫黄排出総量は2,159万tで、前年に比べて12.0%増加した。うち、工業二酸化硫黄排出量は1,792万tで、同比14.7%増加し、全国二酸化硫黄排出量の83.0%を占めた。生活二酸化硫黄排出量は367万tで、同比07%増加し、全国二酸化硫黄排出量の17.0%を占めた。図23参照。

図23 全国の二酸化硫黄排出量の年度別比較
図23より、ここ数年大多数の都市で積極的にクリーンエネルギーを開発・使用しており、生活二酸化硫黄の排出量は緩やかに減少し、工業二酸化硫黄の排出量は上下に変動している。2003年の排出量は過去数年に比べ大幅に増加し、これは我が国の2003年度国民経済発展の全体的な趨勢と合致している。工業二酸化硫黄の排出量は、全国における二酸化硫黄排出量の80%以上を占める。このため、全国における二酸化硫黄排出総量の年度別変化の趨勢は工業二酸化硫黄の排出量の趨勢と一致し、大幅な増加となった。
2)ばい塵及び工業粉塵排出状況
2003年、ばい塵の排出総量は前年に比べ3.6%増加し1,049万tだった。うち、工業ばい塵排出量は846万tと同比5.2%増加し、全国におけるばい塵排出量の80.7%を占めた。生活ばい塵排出量は203万tと同比2.9%減少し、全国ばい塵排出量の19.3%を占めた。
工業粉塵排出量は1,021万tで、同比8.5%増加した。図24参照。

図24 全国のばい塵と工業粉塵排出量の年度別比較
図24から、ばい塵と工業粉塵のこれまでの排出動向と二酸化硫黄の動向とは相似している。2003年の工業ばい塵と工業粉塵の前年比増加幅は工業二酸化硫黄より小さく、これは同一の工業生産において、工業ばい塵、粉塵の集塵レベルが二酸化硫黄の処理レベルを上回っていることを表している。
3.2 地域別廃ガス中の主要汚染物質排出状況
1)二酸化硫黄排出状況
二酸化硫黄の排出量が100万tを超える地域は順に山東省、河北省、山西省、貴州省、内モンゴル自治区、江蘇省、四川省、広東省、河南省で、この9地域における二酸化硫黄排出量は全国排出量の54.6%を占めている。内モンゴル自治区、広東省、河南省が今年新たに排出量が100万tを超える地域として加わった。工業二酸化硫黄の排出量が最も大きい地域は山東省で、全国工業二酸化硫黄排出量の8.6%を占め、生活二酸化硫黄の排出量の最も多い地域は貴州省で、全国生活二酸化硫黄排出量の20.5%を占めた。これら2省がそれぞれ全体に占める比率は、前年度と同レベルとなった。図25、26参照。

図25 全国の二酸化硫黄排出地域の分布

図26 各地域の二酸化硫黄排出量順位
2)ばい塵排出状況
ばい塵排出量が60万tを超える地域は順に、山西省、四川省、河北省、河南省、山東省で、これら5省のばい塵排出量は全国のばい塵排出量の37.6%を占めた。工業と生活ばい塵の排出量が最も大きい地域は何れも山西省で、それぞれ全国の工業、生活ばい塵排出量の10.4%、10.8%を占めた。図27参照。

図27 各地域のばい塵排出量順位
3)工業粉塵排出状況
工場粉塵排出量が60万tを超える地域は順に、山東省、河南省、湖南省、河北省、山西省で、これら5省の工場粉塵排出量は全国の34.2%を占める。

図28 各地域の工業粉塵排出量順位
3.3 工業業種別廃ガス中の主要汚染物質排出状況
1)二酸化硫黄排出状況
2003年、二酸化硫黄排出量の多い上位5業種は、電力業、非金属鉱物製品製造業、化学工業、鉄金属・製錬業、非鉄金属・製錬業で、前年と同じである。これら5業種の二酸化硫黄排出総量は1,389万tで、統計を行った重点企業の二酸化硫黄排出総量の85.0%を占めた。
表18 重点業種の二酸化硫黄汚染寄与率の推移 単位:%
業種 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
電力業 |
42.1 |
43.2 |
53.5 |
54.9 |
61.7 |
非金属鉱物製品製造業 |
20.1 |
20.4 |
11.6 |
11.4 |
9.5 |
化学工業 |
5.5 |
5.0 |
5.8 |
5.4 |
5.1 |
鉄金属・製錬業 |
4.7 |
4.6 |
5.4 |
5.9 |
5.1 |
非鉄金属・製錬業 |
4.4 |
4.4 |
4.5 |
4.9 |
3.6 |
合計 |
76.8 |
77.6 |
80.8 |
82.5 |
85.0 |
表18から、5業種の二酸化硫黄汚染寄与率が年々上昇していることが分かる。中でも、電力業と鉄金属・製錬業は上昇する傾向にあり、特に電力業は5年間で16ポイント上昇した。鉄金属・製錬業はここ3年比較的安定している。非鉄金属・製錬業と化学工業はほぼ同水準で、非金属鉱物製品製造業は10ポイント低下した。
表19 重点業種の経済寄与率の推移 単位:%
業種 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
電力業 |
6.4 |
6.7 |
5.7 |
6.4 |
6.4 |
非金属鉱物製品製造業 |
5.1 |
4.5 |
5.9 |
4.5 |
4.5 |
化学工業 |
9.1 |
9.6 |
9.0 |
7.8 |
7.8 |
鉄金属・製錬業 |
7.4 |
7.2 |
7.8 |
8.7 |
8.7 |
非鉄金属・製錬業 |
3.0 |
3.0 |
3.4 |
2.9 |
2.9 |
合計 |
31.0 |
31.0 |
31.8 |
30.3 |
30.3 |
表20 重点業種の二酸化硫黄排出強度の推移 単位:t/万元
業種 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
電力業 |
42.1 |
43.2 |
53.5 |
54.9 |
61.7 |
非金属鉱物製品製造業 |
20.1 |
20.4 |
11.6 |
11.4 |
9.5 |
化学工業 |
5.5 |
5.0 |
5.8 |
5.4 |
5.1 |
鉄金属・製錬業 |
4.7 |
4.6 |
5.4 |
5.9 |
5.1 |
非鉄金属・製錬業 |
4.4 |
4.4 |
4.5 |
4.9 |
3.6 |
合計 |
76.8 |
77.6 |
80.8 |
82.5 |
85.0 |
以上3つの表より、電力業の二酸化硫黄排出強度は1万元あたり0.218tで、その他4業種より4~18倍高くなっている。過去5年間、電力業の二酸化硫黄排出強度は下降傾向にあるが、その状況は不安定なもので、特に2003年は前年に比べ大きく増加した。我が国において火力発電所が引き続き建設されるに伴い、電力業における二酸化硫黄の汚染寄与率は年々更に上昇すると見られるが、その経済寄与率は下降傾向にある。このため、電力業における脱硫対策を早急に強化しなければならない。その他4業種の排出強度は年々低下し比較的安定しており、鉄金属・製錬業が唯一、年々経済寄与率の安定した上昇を見せている。

図29 重点業種の二酸化硫黄排出強度の推移
2)ばい塵排出状況
2003年、ばい塵排出量の多い上位3業種は、電力業、非金属鉱物製品製造業、化学工業で、これら3業種のばい塵排出総量は統計を行った重点企業のばい塵排出総量の69.5%を占めた。うち、電力業が46.4%と前年に比べ1ポイントアップした。図30参照。

図30 各業種の工業ばい塵排出状況
3)工業粉塵排出状況
非金属鉱物製品製造業と鉄金属製錬業の工業粉塵排出量は、統計を行った重点企業の工業粉塵排出量の87.8%を占めた。うち、非金属鉱物製品製造業が75.1%、鉄金属製錬業が12.7%で、前年と同レベルを維持した。図31参照。
図31 各業種の工業粉塵排出状況
3.4 火力発電所の二酸化硫黄排出状況
2003年、統計を行った全国重点火力発電所1,158ヵ所の燃料石炭の消費量は計7億tで、全国の59.6%を占めた。全国の火力発電所における二酸化硫黄排出量は826万tで、前年に比べ24.0%増加し、その排出量は全国の46.1%だった。また、火力発電所における二酸化硫黄の排出量の多い上位5地域は順に、山東省、河北省、広東省、山西省、河南省で、これら5省の火力発電所における二酸化硫黄の排出量は全国の38.1%を占めた。図32参照。
1,158の火力発電所の脱硫設備は986ユニットで、計101万tの二酸化硫黄を処理し、処理率は10.9%と前年よりやや低下したが、依然全国平均処理率(29.5%)を大きく下回っている。

3.5 「両控区」[3]における二酸化硫黄排出状況
2003年、全国「両控区」における二酸化硫黄排出量は1,281万tで、全国の二酸化硫黄排出総量の59.5%を占めた。うち、「両控区」の工業二酸化硫黄排出量は1,034万tで、前年に比べ14.8%増加し、全国の57.7%を占めた。生活二酸化硫黄排出量は247万tで、全国の67.2%を占めた。表21参照。
表21 「両控区」における工業二酸化硫黄排出量 単位:万t
年度 |
総計 |
酸性雨規制地域 |
二酸化硫黄規制地域 |
2000年 |
1,073.2 |
633.3 |
439.9 |
2001年 |
904.1 |
548.4 |
355.7 |
2002年 |
900.9 |
520.1 |
380.8 |
2003年 |
1,034.4 |
620.2 |
414.2 |
変化率(%) |
14.8 |
19.2 |
8.8 |
「酸性雨規制地域」の二酸化硫黄排出量は695万tで、うち、工業二酸化硫黄排出量が620万tと前年に比べ19.2%増加し、生活二酸化硫黄排出量は75万tで同比9.6%減少した。「二酸化硫黄規制地域」の二酸化硫黄排出量は586万tで、うち、工業が414万tと同比8.8%増加、生活が172万tで同比4.3%増加した。
「両控区」には計1万1,762ユニットの脱硫設備を有し、全国における脱硫設備数の59.8%占めた。廃ガス処理設備の運営費は131億2,000万元で、全国の86.9%を占めた。二酸化硫黄処理量は計611万tで、工業二酸化硫黄処理率が37.1%と全国平均レベルを7.6ポイント上回っている。
3.6 北京市の廃ガス及び主要汚染物質排出状況
2003年、北京市の廃ガス中の各主要汚染物質排出量は、前年に比べそれぞれ程度は違うものの減少した。
北京市の廃ガス排出量は3,005億N㎥で、前年に比べ1.3%増加した。二酸化硫黄の排出量は18万tで、うち、工業が11万tと同比5.8%減少、生活は7万tで同比2.8%減少した。ばい塵排出量は7万tで、同比12.3%減少し、うち、工業が3万tと同比12.1%減少、生活は4万tで、同比12.5%減少した。工業粉塵排出量は3万tで、同比30.4%減少した。
2003年、北京市は引き続き廃ガス対策を強化した。本年度の廃ガス対策プロジェクトは145件で、前年に比べ30件増加した。うち、127件が竣工しており、新たに廃ガス処理能力が1時間あたり420万N㎥増加した。廃ガス対策への投資は5億8,000万元で、同比28.9%増加した。廃ガス処理設備の運営費は4億7,000万元で、同比9.3%増加。二酸化硫黄、ばい塵、工業粉塵の排出基準達成率はそれぞれ、99.7%、98.7%、99.5%と、前年の水準を維持した。
4.工業固形廃棄物
4.1 全国の工業固形廃棄物の発生・排出及び利用状況
2003年、全国の工業固形廃棄物の発生量は10億428万tで、前年に比べて6.3%増加した。うち、工業固形廃棄物の排出量は1,941万tで、同比26.3%減少した。全国の危険廃棄物の発生量は1,171万tで、同比17.0%増加した。危険廃棄物の排出量は3,000tで、同比82.4%減少した。表22参照。
表22 全国の工業固形廃棄物の発生及び処理状況 単位:万t
年度 |
発生量 |
排出量 |
総合利用量 |
貯蔵量 |
処理量 |
合計 |
危険廃棄物 |
合計 |
危険廃棄物 |
合計 |
危険廃棄物 |
合計 |
危険廃棄物 |
合計 |
危険廃棄物 |
1998 |
80,068 |
974 |
7,048 |
45.8 |
33,387 |
428 |
27,546 |
387 |
10,527 |
131 |
1999 |
78,442 |
1,015 |
3,880 |
36.0 |
35,756 |
465 |
26,295 |
397 |
10,764 |
132 |
2000 |
81,608 |
830 |
3,186 |
2.6 |
34,751 |
408 |
28,921 |
276 |
9,152 |
179 |
2001 |
88,746 |
952 |
2,894 |
2.1 |
47,290 |
442 |
30,183 |
307 |
14,491 |
229 |
2002 |
94,509 |
1,000 |
2,635 |
1.7 |
50,061 |
392 |
30,040 |
383 |
16,618 |
242 |
2003 |
100,428 |
1,170 |
1,941 |
0.3 |
56,040 |
427 |
27,667 |
423 |
17,751 |
375 |
増減率(%) |
6.3 |
17.0 |
-26.3 |
-82.4 |
11.9 |
8.9 |
-7.9 |
10.4 |
6.8 |
55.0 |
注:「総合利用量」及び「処理量」には総合利用及び処置された往年の量が含まれる。
工業固形廃棄物の総合利用量は56,040万tで、前年に比べ11.9%増加した。貯蔵量は27,667万tで同比7.9%減少し、うち危険廃棄物が423万tと同比10.4%増加した。処理量は17,751万tで同比6.8%増加し、うち危険廃棄物が375万tと同比55.0%増加した。図33参照。

図33 全国における工業固形廃棄物の発生、処理、排出量の経年推移
4.2 地域別工業固形廃棄物の排出状況
2003年、工業固形廃棄物の排出量が100万tを超える地域は順に、山西省、貴州省、重慶市、四川省、雲南省、広西チワン自治区で、これら6地域における工業固形廃棄物の排出量は全国の74.8%を占める。図34参照。多数地域の工業固形廃棄物の処理率は95%以上であるが、山西省、新疆ウイグル自治区、貴州省、重慶市がやや低く、処理率はそれぞれ93.2%、91.9%、91.6%、89.4%だった。

図34 各地域の工業固形廃棄物排出量の順位
4.3 工業業種別固形廃棄物の排出状況
2003年、工業固形廃棄物の排出量が100万tを超える業種は順に、石炭採掘業、鉄金属・製錬業、鉄金属採掘業、非鉄金属採掘業、化学工業で、これら5業種の工業固形廃棄物の排出量は統計を行った重点企業の固形廃棄物排出総量の74.5%を占めた。
4.4 地域別危険廃棄物の集中処理状況
2003年、全国154ヵ所の危険廃棄物集中処理場について統計を取った。前年より新たに2ヵ所が加わった。江西省、河南省、湖南省、重慶市、雲南省、チベット自治区、陜西省、寧夏回族自治区の8地域を除き、その他全ての地域に異なる数の危険廃棄物集中処理場が設けられている。中でも江蘇省が最も多く、25ヵ所に設けられている。
2003年、危険廃棄物集中処理場の運営費は31,366万元で、前年に比べ96.9%増加した。処理能力は1日当たり10,627tで、同比2.6倍近く増加した。うち、焼却処理能力は1日当たり8,624t、埋立処理能力は2,003tだった。危険廃棄物の処理量は42万1,362tで、同比1.1倍増加した。うち、焼却処理量は33万914tで全体の78.5%を占めた。
我が国の危険廃棄物の処理方法は焼却方法を主とし、工業危険廃棄物が主な危険廃棄物である。多くの危険廃棄物集中処理場では、危険廃棄物の集中処理能力を充分に活かしきれていないため、実際の処理量と処理場の処理能力には依然大きな差が見られる。焼却方法を例にとっても、毎年200日稼動するとして、実際の焼却量は焼却能力の20%にも達していない。言い換えれば、既存の処理能力を充分活用すると、毎年少なくとも更に200万tの危険廃棄物を焼却処理することができる。
5.工業企業の汚染対策と基準達成状況
5.1 新旧汚染源に対する対策と投資
2003年、環境汚染対策に1,627億3,000万元投資し、前年に比べて19.4%増加の263億9,000万元増加した。環境汚染対策への投資額は当年GDPの1.39%を占め、同比0.06ポイント上昇した。うち、都市の環境インフラ建設への投資額は1,072億元で、同比36.5%増加した。工業汚染源に対する汚染対策投資は221億8,000万元で、同比17.7%増加した。新規プロジェクトの「三同時」環境保全投資額は333億5,000万元で、同比14.4%減少した。表23参照。
表23 過去数年における環境汚染対策への投資の実施状況 単位:億元
項 目 |
1999年 |
2000年 |
2001年 |
2002年 |
2003年 |
増減率(%) |
都市環境インフラ建設投資 |
478.9 |
561.3 |
595.7 |
785.3 |
1,072.0 |
36.5 |
旧来の工業汚染源に対する汚染対策投資 |
152.7 |
239.4 |
174.5 |
188.4 |
221.8 |
17.7 |
新規プロジェクトの「三同時」環境保全投資 |
191.6 |
260.0 |
336.4 |
389.7 |
333.5 |
-14.4 |
投資総額 |
823.2 |
1,060.7 |
1,106.6 |
1,363.4 |
1,627.3 |
19.4 |
旧来の工業汚染源に対する汚染対策投資のうち、廃水対策に使用された資金は87億4,000万元で、前年に比べ22.2%増加した。廃ガス対策向けは92億1,000万元で同比32.0%増加、工業固形廃棄物対策向けは16億2,000万元で同比0.3%増加、騒音対策向けは1億元で同比3.1%減少した。2003年の廃ガス及び排水対策向けの投資は比較的多かった。
5.2 工業企業の汚染物質排出基準達成状況
1)工業廃水の排出基準達成状況
2003年、全国の工業廃水の排出基準達成率は89.2%で、前年に比べ0.9ポイント上昇した。工業廃水の排出基準達成率が90%を超える地位は順に、天津市、北京市、江蘇省、浙江省、福建市、山東省、安徽省、上海市、河北省、黒龍江省、海南省、遼寧省、河南省だった。前年に比べ、遼寧省の工業廃水排出基準達成率は4ポイント近く上昇した。図35参照。

図35 各地域における工業廃水排出基準達成率の順位
2)工業二酸化硫黄排出基準達成率
2003年、全国の工業二酸化硫黄排出基準達成率は69.1%で、前年に比べ3.1ポイント低下した。工業二酸化硫黄排出基準達成率が90%を超える地域は順に、天津市、北京市、浙江省、上海市で、前年より2地域減少した。図36参照。

図36 各地域における工業二酸化硫黄排出基準達成率の順位
3)工業ばい塵排出基準達成率
2003年、全国の工業ばい塵排出基準達成率は78.5%で、前年に比べ3.5ポイント上昇した。排出基準達成率が90%を超える地域は順に、天津市、北京市、上海市、河北省、浙江省、安徽省、遼寧省、江蘇省、山東省だった。うち、黒龍江省の基準達成率は10ポイント低下した。図37参照。
図37 各地域における工業ばい塵排出基準達成率の順位
4)工業粉塵排出基準達成率
2003年、全国の工業粉塵排出基準達成率は54.4%で、前年に比べ7.2ポイント低下した。排出基準達成率が80%を超える地域は順に、北京市、天津市、浙江省、安徽省、海南省、上海市、重慶市だった。図38参照。

図38 各地域における工業粉塵排出基準達成率の順位
5)工業固形廃棄物総合利用率
全国の工業固形廃棄物総合利用率は54.8%で、前年に比べ2.8ポイント上昇した。総合利用率が80%を超える地域は順に、上海市、天津市、チベット自治区、江蘇省、浙江省、山東省で、前年と同じだった。図39参照。

図39 各地域における工業固形廃棄物総合利用率の順位
6.都市生活汚水処理状況
2003年、全国に設置された都市汚水処理場は511ヵ所で、前年に比べ93ヵ所増加した。これら処理場の汚水処理能力は1日当たり3,228万tで、同比1日あたり684万t増加した。今年工業廃水と生活汚水あわせて77億5,000万t処理し、うち生活汚水が64億7,000万tで全体の83.5%を占めた。都市生活汚水処理率は25.8%に達し、同比3.5ポイント上昇した。各地域における都市生活汚水処理率は、図40を参照のこと

図40 各地域における都市生活汚水処理率
既に運行している汚水処理場の設計処理能力から見ると、我が国における生活汚水処理率は既に国家「第十次五カ年計画」末期の計画目標、即ち45%に達している。しかし実際には、下水道管の敷設が完備しておらず、その建設速度は汚水処理場の建設に大きく立ち遅れている。この他、一部地域の都市汚水処理場において、運行メカニズム、料金徴収政策、監督管理などの面に問題が存在し、汚水処理率の向上に影響を及ぼしている。
7.重点都市の主要汚染物質排出状況
2003年、113の重点都市における廃水排出量は286億tで、全国廃水排出量の62.2%を占めた。うち、工業廃水が130億tで、生活汚水が156億tだった。重点都市における工業廃水排出基準達成率は96.2%で、前年に比べ4.5ポイント上昇し、全国平均を7ポイント上回った。
重点都市におけるCOD排出量は679万tで、全国COD排出量の50.9%を占めた。うち、工業CODが246万t、生活CODが433万tだった。アンモニア性窒素排出量は72万tで、全国アンモニア性窒素排出量の54.4%を占めた。うち、工業が23万t、生活が48万tだった。
重点都市における二酸化硫黄排出量は1,121万tで、全国二酸化硫黄排出量の51.9%を占めた。うち、工業が955万t、生活が166万tだった。ばい塵の排出量は520万tで、全国ばい塵排出量の49.6%を占めた。うち、工業が419万t、生活が101万tだった。工業粉塵排出量は383万tで、全国工業粉塵排出量の37.5%を占めた。
113の重点都市には汚水処理場が計390ヵ所設けられており、都市生活汚水処理率は36.1%と全国平均を10.3ポイント上回っている。
8.東部・中部・西部地域の主要汚染物質排出状況
東部・中部・西部地域の企業総数、工業汚染物質排出量、処理対策などに関する状況を表24にまとめた。
表24 東部・中部・西部地域の主要統計指数の比率総括表
プロジェクト |
東部(%) |
中部(%) |
西部(%) |
工業企業総数 |
51.4 |
25.6 |
23.0 |
廃水排出量 |
工業 |
50.9 |
26.4 |
22.7 |
生活 |
52.6 |
25.0 |
19.4 |
COD排出量 |
工業 |
36.7 |
27.7 |
35.6 |
生活 |
42.2 |
34.2 |
23.6 |
アンモニア性窒素排出量 |
工業 |
36.9 |
35.1 |
28.0 |
生活 |
44.8 |
34.0 |
21.2 |
廃水処理施設数 |
55.0 |
23.4 |
21.6 |
廃水処理施設運営費用 |
62.3 |
22.6 |
15.1 |
工業廃ガス排出量 |
50.6 |
26.9 |
22.5 |
二酸化硫黄排出量 |
工業 |
40.7 |
24.7 |
34.6 |
生活 |
29.0 |
26.1 |
44.9 |
ばい塵排出量 |
工業 |
29.6 |
38.1 |
32.3 |
生活 |
31.3 |
29.5 |
39.3 |
工業粉塵排出量 |
34.3 |
36.4 |
29.3 |
廃ガス処理施設数 |
49.5 |
28.1 |
22.4 |
廃ガス処理施設運営費用 |
57.8 |
22.3 |
19.9 |
工業固形廃棄物排出量 |
5.0 |
38.2 |
56.8 |
表より、東部地域で統計を行った重点企業数は全国統計対象企業数の2分の1を占め、その工業廃水と工業廃ガス排出量も全国の50%を占めた。東部地域は経済が発達しているため、設置された廃水と廃ガス処理施設数も全国の半分を占め、廃水処理設備の運営費用が占める割合は63%、廃ガスは58%だった。このため、東部地域の工業CODとアンモニア性窒素排出量が占める割合は50%より更に低く、何れも37%となっている。
東部地域の工業ばい塵排出量が占める割合は中部・西部より低かった。工業粉塵排出量の比率では中部・西部と顕著な差は見られず、中部・西部の中間に位置している。既存の排気ガス処理設備は各種集塵機を主な設備としているため、東部地域の工業二酸化硫黄排出量が占める割合は41%と、中部・西部地域より明らかに高かった。
中部地域と西部地域の重点企業数、工業廃水、工業廃ガス、処理設備が占める割合はほぼ同等であるが、西部地域の二酸化硫黄、工業COD、工業固形廃棄物、生活ばい塵排出量が占める割合は中部地域より高く、特に生活二酸化硫黄と工業固形廃棄物の排出量は50%に近いか50%を上回っている。
地域別統計データから、二酸化硫黄の処理対策の重点は東部と西部で、中でも東部の工業二酸化硫黄と西部の生活二酸化硫黄の排出量に注意すべきである。この他、西部の工業固形廃棄物の排出量がその他地域を大きく上回っていることも注目すべきである。
9.環境管理制度の執行状況
9.1 環境アセスメント
環境アセスメント制度の執行状況は相対的に良好である。図41参照。
図41 各地域における環境アセスメント執行状況
2003年、全国における建設プロジェクト28万1,000件のうち、27万8,000件が環境アセスメントを実施し、実施率は前年同期に比べ06ポイント上昇の98.9%に達した。うち、環境影響報告書の編成、環境影響報告表の報告、環境影響登録表の報告を行ったものは、それぞれ2.7%、26.8%、70.5%だった。環境アセスメントプロジェクトとして申請された環境保全への投資額は2,905億4,000万元で、環境アセスメントプロジェクトとして申請された投資総額の5.6%を占め、2002年より0.5ポイント低下した。うち、新設プロジェクト、拡張工事プロジェクト、技術改良プロジェクトに関する環境保全投資額はそれぞれ環境アセスメントの申請があった同類の建設プロジェクト総額の5.4%、7.3%、8.5%を占め、2002年に比べ、新設プロジェクトは1.5ポイント低下、拡張工事プロジェクトと技術改良プロジェクトはそれぞれ4.1ポイント、1.9ポイント上昇した。一部産業、地域における盲目的な投資、重複建設を背景に、新設プロジェクトの環境保全における投資額が新設プロジェクト投資総額に占める割合はやや低下しており、新たな汚染源を一層強力に抑制する必要がある。
9.2 「三同時」管理
「三同時」執行率はほぼ安定している。2003年、全国で「三同時」を実施すべきプロジェクトは6万4,000件で、うち6万3,000件が実際に実施した。「三同時」合格件数は5万1,000件[4]で、全国における「三同時」合格率は97.6%となり、前年に比べ1.1ポイント低下した。また「三同時」を実施した企業に占める合格率は96.5%と、同比0.4ポイント向上した。図42参照。
図42 2003年建設プロジェクトの「三同時」実施状況
環境保全プロジェクトに「三同時」を実施するための実際投資額は333億5,000万元で、プロジェクト総投資額の3.9%を占め、前年に比べ1.3ポイント低下した。うち、新設プロジェクト、拡張建設プロジェクト、技術改良プロジェクトの環境保全プロジェクトがプロジェクト投資総額に占める割合はそれぞれ、3.2%、6.6%、6.8%で、2002年に比べそれぞれ、0.8、0.9、5.9ポイント低下した。
異なった行政レベル別に「三同時」の管理状況を見てみると、国家級、省級、地方都市級の「三同時」管理件数の割合は低下し、県レベルの管理件数の割合が上昇している。これは、中小企業に対する「三同時」管理が強化されたことを表している。図43参照。

図43 異なった行政レベル別「三同時」プロジェクト管理状況
9.3 汚染排出申請登録と汚染排出許可証
汚染排出申請登録と汚染排出許可証の発給作業は順調に進展している。2003年、全国で汚染排出申請登録を行った企業は52万社に達し、前年に比べ10.3%増加した。また各レベルの環境保全部門が同比17.1%増の15万6,000社に対し汚染排出許可証を発給した。その発行部数は17万7,000万部に達し、同比14.4%増加した。排出汚染許可証は既に環境管理における重要な制度の一つとなり、汚染対策において大きな作用を発揮している。
9.4 期間限定汚染対策
期間限定の汚染対策を引き続き強化し、汚染対策と産業構造の最適化を促した。2003年、全国で2万8,000件の期間限定汚染対策プロジェクトを完了し、その数は前年に比べ11.9%増加した。期間限定汚染対策任務を実際に完了したプロジェクトが汚染対策に投入した総資金は122億9,000万元で、同比20.7%増加した。2003年、各レベルの人民政府は、資源の浪費や環境汚染が深刻で、対策をとる価値のない企業1万1,499社に対し法に基づき運行停止・移転を行った。その数は前年に比べ3,315社増加した。
9.5 汚染物質排出課徴金
2003年上半期に全国で汚染物質排出課徴金の徴収を開始した企業は58万1,712社となり、前年に比べ33万5,815社減少し、36.6%の減少となった。排出課徴金徴収総額は43億6,000万元で、2003年年間の排出課徴金総額(73億1,000万元)の59.6%を占め、前年同期に比べ14億6,000万元増加し、増加率は50.1%だった。うち、基準超過による排出課徴金の実際徴収額は20億1,000万元で徴収総額の47.0%を占め、同比14億5,000万元増加し、増加率は49.9%となった。汚水排出課徴金徴収額は1億5,000万元で徴収総額の3.5%を占め、同比1,000万元増加し、増加率は3.4%だった。二酸化硫黄の排出課徴金徴収額は7億元で徴収総額の16.1%を占め、同比2億8,000万ドル増加し、増加率は66.1%だった。四項収入[5]は14億5,000万元で徴収総額の33.4%を占め、同比6億3,000万元増加し、増加率は76.2%だった。表25参照。
2003年上半期の全国環境保全補助金使用総額は32億3,000万元で、同年の排出課徴金総額の74.2%を占めた。うち、汚染対策に資金使用総額の50.7%に当たる16億4,000万元を使用し、49.3%に当たる16億元を環境保全のキャパシティビルディングに活用した。
表25 2003年上半期汚染物質排出課徴金徴収状況 単位:億元
項目 |
汚染物質排出課徴金 |
各項目徴収額の合計に占める割合(%) |
2003年上半期の前年同期比増減額 |
2003年上半期の全同期比増減率(%) |
2002年上半期 |
2003年上半期 |
排出課徴金徴収合計 |
29.1 |
43.6 |
|
14.5 |
49.9 |
1.基準超過による課徴金徴収 |
14.4 |
20.5 |
47.0 |
6.1 |
42.4 |
2.汚水排出課徴金徴収 |
1.5 |
1.5 |
3.5 |
0.1 |
3.4 |
3.二酸化硫黄排出課徴金徴収 |
4.2 |
7.0 |
16.1 |
2.8 |
66.1 |
4.四項収入 |
8.3 |
14.5 |
33.4 |
6.3 |
76.2 |
注:2003年7月1日より『排出課徴金徴収使用管理条例』が施行されたため、2003年の排出課徴金の徴収状況は同条例発表前(上半期)に対してのみ算出した。
9.6 環境法整備
環境法整備は一層強化された。2003年、全国人民代表大会が環境法1部(『中華人民共和国放射性汚染対策法』)を発表し、国務院が環境行政法規1部(『医療廃棄物の管理条例』)を発表した。国家環境保護総局は環境保全部門の規則を5つ発表した。各地で発表された地方性環境保全法規は計25件で、環境保全に関する政府の規定は56件にのぼった。国家環境保護総局が制定した環境保全基準は9項目で、これまでに制定した各種環境保全基準は累計486項目にのぼった。また、地方性環境基準25項目が発表され、累計67項目となった。
2003年、全国の環境保全に関する行政処罰案件は9万3,000件で、前年に比べ7.3%減少した。処罰案件の処罰金は3億2,916万3,000万元で、同比9.0%増加した。再審議にかけられた環境保全に関する案件は230件で、同比55件減少した。うち、元判決を支持した案件は152件で、再議案件総数の66.1%を占めた。同年に判決が下された環境保全に関わる行政訴訟案件は計579件で、同比41.7%減少。2003年、全国規模の重大環境汚染犯罪事件1件を厳重に取り締まった。
9.7 都市環境の総合整備
都市環境の総合整備が一層強化され、都市のエネルギー構造に引き続き改善が見られた。2003年全国で3,599のばい塵抑制区が建設され、前年に比べ0.5%増加した。ばい塵抑制区の面積は3万3,000㎢に達し、同比29.4%増加した。騒音の基準達成区は3,573地域にのぼり、同比5.9%増加し、その面積は2万㎢と同比27.0%増加した。(図44、55参照)法に基づき汚染度の高い燃料の燃焼を禁止する区域を485ヵ所建設し、前年の1.6倍の規模となり、その面積は2万㎢で、前年の1.2倍に拡大した。都市部におけるエネルギー使用総量は8億1,750万3,000t標準煤で、同比14.4%増加した。うち、都市部におけるクリーンエネルギーの使用量は2億7,825万4,000t標準倍で、同比34.1%増加となり、都市部エネルギー使用量の34.0%を占めた。これら重要な措置は、経済が急速は発展を遂げる中で都市環境質の改善に大きな作用をもたらした。
図44 過去数年間に建設されたばい塵抑制区、騒音基準達成区の数量

図45 過去数年間に建設されたばい塵抑制区、騒音基準達成区の面積
9.8 環境面における科学技術
環境面科学技術は大きな進展を見せた。2003年、全国各地で3,786のテーマ研究が完了し、研究にかかった総経費は3億元と前年に比べ9.4%増加した。86項目の研究が省・部レベル以上の科学技術賞を受賞し、うち3項目は国家レベルの賞を獲得した。
9.9 キャパシティビルディング
2003年、全国31省・市・自治区に計333の地区レベルの機関が設けられ、うち地区レベルの市が282つ設けられた。県レベルの機関は2,861機関で、うち県レベルの市が374つ設けられた。チベット自治区を除くその他30の省・市・自治区の環境保全機関が一級機関となった。
2003年、全国の環境保全機関総数は1万1,654件にのぼり、うち国家・省レベルが366機関、地区レベルが1,944機関、県レベルが7,647機関、郷鎮レベルが1,697機関だった。これら機関は様々なレベルの、環境保全行政機関が3,250つ、モニタリング機関が2,305つ、監察機関が2,795つ、環境科学研究院が263つから構成された。
2003年、全国環境保全に従事する人員は計15万7,000人で、うち環境モニタリング人員は4万6,000人と全体の29.3%を占め、前年に比べ0.9ポイント減少した。環境監察員は4万4,000人と全体の28.3%を占め、同比1.1ポイント上昇した。表26参照。
表26 環境保護局、モニタリングステーションにおける年度末実働人数及びその割合
環境行政主管部門 |
年末実働人数(人) |
環境保護局 |
モニタリングステーション |
実働人数(人) |
各レベルの環境保全従事者総数に占める割合(%) |
実働人数(人) |
各レベルの環境保全従事者総数に占める割合(%) |
総計 |
156,542 |
40,598 |
25.9 |
45,813 |
29.3 |
うち国家レベル |
1,673 |
217 |
13.0 |
94 |
5.6 |
省レベル |
10.293 |
1,926 |
18.7 |
2,763 |
26.8 |
地方市レベル |
39,960 |
8,420 |
20.1 |
15,914 |
39.8 |
県レベル |
99,892 |
30,035 |
30.1 |
27,042 |
27.0 |
9.10 投書・陳情
環境に関する投書・陳情数は大幅に増加し、環境問題が社会で注目の話題となっている。2003年全国の環境保全機関で受領した市民からの投書は52万6,000通で、環境汚染と生態系の破壊に関するものは48万1,000件だった。投書数は前年に比べ20.8%増加し、投書の処理率は95.7%だった。市民の陳情のための訪問はのべ8万5,000件で、同比6.3%減少し、その処理率は85.8%と同比4%増加した。各レベルの人民代表大会代表によって提出された環境保全に関する議案は5,570件で同比11.6%増加、各レベルの政治協商会議委員によって提出された環境保全に関する議案は6,221件と同比0.7%増加した。表27参照。
表27 投書・陳情作業状況
年度 |
投書総数(通) |
水汚染(件) |
大気汚染(件) |
固形廃棄物汚染(件) |
騒音と振動(件) |
陳情件数(件) |
2000年 |
247,741 |
31,236 |
92,552 |
5,668 |
110,639 |
62,059 |
2001年 |
369,712 |
47,536 |
144,880 |
6,762 |
154,780 |
80,575 |
2002年 |
435,420 |
47,438 |
160,332 |
7,567 |
171,770 |
90,746 |
2003年 |
525,988 |
60,815 |
194,148 |
11,698 |
201,143 |
85,028 |
9.11 環境汚染と環境破壊事故
2003年、全国で環境汚染と破壊事故が計1,843件発生し、2002年に比べ78件減少した。うち、特大事故が20件、重大事故が30件、比較的大きな事故が153件、中度の事故が1,640件で、それぞれ全国環境汚染事故総数の1.1%、1.6%、8.3%、89.0%を占めた。前年に比べ、特大事故は7件減少した。図46参照。
図46 程度別汚染事故数の割合
図47 程度別汚染事故の経済損失の割合
2003年、全国環境汚染と破壊事故によってもたらされた直接的な経済損失は合計3,374万9,000元で、前年に比べ27.3%減少した。うち、特大事故、重大事故、比較的大きな事故、中度の事故がもたらした直接的な経済損失が損失総額に占める割合はそれぞれ、25.6%、7.5%、14.6%、52.3%だった。前年に比べ、特大事故による損失の割合が15.9%減少し、中度の事故による損失の割合が17.7%増加した。図47参照。
9.12 自然生態系の保護
生態環境保全を強化した。2003年末時点の全国の各種自然保護区は計1,999ヵ所で、前年に比べ242ヵ所増加した。全国自然保護区の面積は1億4,398万haで、国土総面積の14.4%を占め、同比1.2ポイント上昇した。国家レベル、省レベル、地方市レベル、県レベルの自然保護区の数はそれぞれ全体の11.3%、32.7%、17.0%、39.0%を占め、面積では45.5%、44.4%、3.5%、6.6%を占めた。
2003年、全国の生態環境モデル地区の建設に向けたテスト地区や機関は計484ヵ所で、同比50.3%増加した。うち、82の国家級生態系モデル地区が国の検査に通過した。
10.核安全と放射環境管理
10.1 核施設の安全監督管理
2003年、我が国の既存の核施設は安全に運行しており、作業員や環境に影響を及ぼす如何なる事故或いは事件も発生しておらず、核施設の建設においても安全性を確保している。
2003年度の秦山原子力発電所周辺における環境へのγ放射の空気吸収線量率は90.3~116 nGy/h、平均値は102 nGy/hで、同発電所運転前の当該地域におけるバックグランド値92.5±20.5 nGy/hに比べやや上昇した。これは泰山第三原子力発電所の運転によって排出される三重水素が周囲の空気環境に一定の放射性汚染を生み出していることを表しているが、放射性物質の流出による年間累計三重水素の排出量は、管理目標値を下回っている。広東大亜湾・嶺澳電子力発電所周辺の環境γ放射の空気吸収線量率は105~146 nGy/h、平均値は117 nGy/hで、同発電所運行前の当該地域のバックグランド値118.4±15.2 nGy/hと同レベルにある。
2003年、大亜湾・嶺澳電子力発電所付近の海域に設置された海水モニタリング地点の60%で、バックグラウンド値を超える三重水素が観測された。秦山原子力発電所及び大亜湾・嶺澳電子力発電所付近のエアロゾルと沈降物、土壌と底質、地表水と引用水、陸生生物などは運行前のバックグラウンド調査・比較時点と同一レベルで、上昇していない。
10.2 輻射環境の監督管理
2003年度、北京市、天津市、山西省、河北省、吉林省、ハルビン市、南京市、済南市、浙江省、福州市、深セン市、南寧市、貴州省、重慶市、昆明市、西安市、蘭州市、寧夏回族自治区、西寧市における環境へのγ放射の空気吸収線量率(宇宙放射線の値を除く)は48.5~83.6 nGy/hで、上海市、包頭市、青島市、広州市、ウルムチ市、伊寧市における環境へのγ放射の空気吸収線量率(宇宙放射線の値を含む)は65.0~112 nGy/hと昨年とほぼ一致した。長江、海河、松花江、珠江、閩江及び沿海地域においては人工放射性核物質による汚染は観測されておらず、天然の放射性核物質の含有量は依然バックグラウンド値を維持し、沿海地域の海水中の放射性核物質90Sr、137Csの含有量は何れも我が国の廃水水質基準を下回っている。上海市の飲用水全α比放射能測定値が国家基準をやや上回っている以外は、全国のその他省、市、自治区における飲用水の全α、全β比放射能測定値は何れも国の飲用水水質基準を下回っている。北京市、包頭市、石家庄市、ハルビン市、南京市、長沙市、南寧市、貴州市、ウルムチ市などの大気中のラドン濃度は6.0~66Bq/㎥で、過去のモニタリング結果とほぼ一致している。
10.3 電磁波輻射汚染源
2003年のモニタリング結果より、移動通信基地局では個別の基地局の屋上に設置されたプラットフォームの電磁波の輻射レベルが関連の基準を超している以外は、移動通信基地局周辺の建物の室内及び環境に敏感な地点における電磁波の輻射レベルは何れも国家基準に達した。高圧送変電事業では、一部500kVの高圧送変電線と変電所周辺の環境への電磁波輻射レベルが国家規定値を上回った。中波ラジオ発信塔周辺のアンテナに比較的近い高層建築の屋上と窓際の電磁波輻射レベルは、電磁波輻射環境保護規定の基準を上回った。電磁波輻射汚染源が急増しつつあり、一部環境下で基準を超えてはいるものの、全体的な電磁波輻射環境は依然良好である
編成に関する説明
2003年は国家の「第10次五ヵ年計画」における環境統計報告表制度実施の3年目に当たる。統計文書番号は国統函[2003]159号に更新された。
1.2001年の報告表と比べ、個別の表や指標が修正された。具体的な内容は以下の通り。
1)環(境)年(度)基表1の5項目めの「行政区画」のコードは『中華人民共和国行政区画コード』(GB/T2260-2002)(元GB/T2260-1995)に基づき記入した。7項目の「業種類別」コードは『国民経済業種分類』GB/T4754-2002(元『国民経済業種分類とコード』GB/T4754-1994)に基づき記入した。21項目の「ばい塵排出基準を達成した工業ボイラー数」の適用基準を『ボイラー大気汚染物質排出基準』(GB13271-2001)(元GWPB3-1999)に変更した。
2)『都市ゴミ処理場運転状況』(元、環年基5表)を削除した。
3)『工業企業の汚染対策プロジェクト建設状況』(元、環年基6表)の「環境保全補助金」と「環境保全貸付金」の2項を「環境保全プロジェクト資金」に統一し、「その他資金」に「企業の自社調達資金」を追加した。
4)『工業企業の汚染排出半年報告表』(環半年基1表)に「企業の基本状況」を追加した。
5)『各地域における非重点調査工業の汚染排出及び処理、利用状況』(環年総1-2表)に「原料石炭消費量」を追加した。
6)『各地域における重要汚染物質排出状況速報表』(環年総1-3表)に「工業廃水排出量」を追加した。
7)『各地域における都市汚水処理状況』(環年総3表)から以前の項目18、19、21、22を削除した。
8)『各地域における都市ゴミ処理状況』(元、環年総4表)を削除した。
9)『各地域における生活及びその他汚染状況』(元、環年総5表)の項目13を「都市生活汚水中のCOD除去量」に改め、項目14と順序を入れ替えた。項目17を「都市生活汚水中のアンモニア性窒素除去量」に改め、項目18と順序を入れ替えた。都市生活汚水中のCOD排出量の計算方法を以下のように変更した。
生活COD排出量=処理済み排出量(地区の汚水処理場から出たCOD平均排出濃度×処理済み生活汚水量)+未処理排出量(測定濃度×未処理生活汚水量)
うち、
地区の汚水処理場から出たCOD平均排出濃度=地区の各汚水処理場からのCOD排出量の和÷各汚水処理場における処理水量の和
測定濃度=生活COD発生量÷生活汚水排出量
10)『各地域における生活及びその他汚染状況』(元、環年総5表)の生活汚水中のアンモニア性窒素排出量の計算方法はCODと同じ。
11)『工業企業による汚染対策プロジェクトの建設状況』(元、環年総6表)の「環境保全補助金」と「環境保全貸付金」の2項を「環境保全プロジェクト資金」に統一し、「その他資金」に「企業の自社調達資金」を追加した。
2.報告表制度の個別報告表と指標にいくらか修正があったが、修正後の指標と過去2年間の年報のデータは依然比較対照するに値する。
3.工業汚染源重点調査機関の選出方法
区・県を末端の選出単位とし、うち重点的に調査を行う85%の企業を選出する。上級機関から下級機関に至るまで各段階で選別を行い、下級機関は上級機関が選出した重点企業リストを含めた、各レベルの選出企業リストを補充し、最終的に調査対象重点企業のデータベースを作成する。調査対象の重点企業が数を満たさない場合、企業群のデータによりこれを補足し、85%の調査対象の重点企業を総括後の実際の状況に基づき、非重点調査対象企業のデータを算出することを提唱する。
4.特定テーマごとの報告表は2001年の報告表をそのまま使用したが、以下の通り若干の調整を行った。
1)「各地域における年間環境保全と資源の総合利用計画の完成状況」(環年専規2表)の石油類排出量の単位を「万t」から「t」に変更した。
2)「各地域における農業面源汚染及び対策状況」(環年専然4表)の「窒素肥料使用水準(㎏/ムー[6])」を「窒素肥料使用面積(ムー)」に、「リン肥料使用水準(㎏/ムー)」を「リン肥料使用面積(ムー)」に、「農薬使用水準(㎏/ムー)」を「農薬使用面積(ムー)」に変更した。
3)環年専規表1(続編)の項目54「建設中のプロジェクトの汚染物質削減量」を「建設中のプロジェクトにおけるベースの投資額」に変更した。
4)環年専規表2から項目12~15の「人口20万人以上の都市の状況」に関する指標を削除した。
5.2003年の全国環境統計年報は31の省、自治区、直轄市の環境統計データを総括して作成した。年報は以下4つのデータを掲載する。
1)工業汚染物質の排出及び処理に関するデータ
2)生活汚染物質の排出及び処理に関するデータ
3)工業と生活汚染対策に関するデータ
4)環境管理に関するデータ
主要環境統計指標の解釈については最終章を参照のこと。
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[1] 三河=淮河、遼河(遼寧)、海河(天津)三湖=太湖(江蘇)、デン池(雲南)、巣湖(安徽)。――訳注
[2] 中国北方地区の水不足を解決し、水資源の合理的な配置を実現することを目的として計画された、流域の枠を越えて水を輸送するプロジェクト。数十年に及ぶ計画策定、調査・測量、設計作業により、東部、中部、西部の3本の水路を建設することが計画されている。第10次五ヵ年計画期間には、その準備作業が進められ、水路に適当な地を選び、建設が開始された――訳注
[3] 酸性雨規制地域と二酸化硫黄規制地域。以下、訳文では「両控区」とする。――訳注
[4] 6万1,000件の入力ミスかと思われる――訳注
[5] 徴収基準がアップされた徴収費用、倍以上が加算された徴収費用、滞納金、補償的罰金を指す。以下訳文では「四項収入」とする――訳注
[6] 1ムーは6.667アールに相当――訳注
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