1.11 原子力安全と放射線環境管理

1.11.1 全国の放射線環境管理
  2006年、全国の放射線環境管理の状況には全体として大きな変化は無かった。全国の電離輻射環境管理は全体として過去数年と同様のレベルであり、絶対的多数の核施設、ウラン鉱精製、核技術利用活動が周囲の環境にもたらした測定可能レベルの汚染は無く、都市の放射性廃棄物一時保管庫は周囲の環境に対して影響を及ぼしていない。大部分の電磁輻射施設の設備周囲の電磁輻射レベルは国家基準を満たしているが、個別組織の局部的な輻射による環境汚染の隠れた危険は依然として存在している。

 2006年、北京、瀋陽、天津、長春、ハルピン、南京、昆明、青島、杭州、成都、重慶、ウルムチの12都市の連続モニタリング・システムが測定した環境ガンマ線放射の空気吸収線量率(宇宙線寄与を含む)は74~110nGy/h(ナノグレイ毎時)で、北京、上海など21の省・自治区・直轄市の管轄区域内陸地の瞬時の環境ガンマ線空気吸収線量率(宇宙線寄与を除く)は、31.5~100nGy/h(ナノグレイ毎時)で、2005年と比べ同一レベルだった。

 大気 2006年、上海、石家荘、綿陽、西安、杭州、ハルピン、ウルムチの7都市の環境空気エアロゾル、及び上海、杭州、昆明、ウルムチ、青島の5都市の環境空気降下物の総アルファ線、総ベータ線の放射性比活度とウラン238、ラジウム226、トリウム232、ラジウム40などの放射性元素含有量は前年比と同一レベルを保っている。北京、包頭、石家荘、ハルピン、南京、南寧、武漢、成都、重慶、貴州、ウルムチの11省・自治区・直轄市の管轄区域内の一部の環境(室内を含む)空気中のラドン濃度及びラドン子体の全α放射能は2006年以前の毎年のレベルを維持しており、上昇傾向は見られない。そのうち、北京、ハルピン、石家荘、南寧、武漢、成都、貴州の管轄区域内の一部の室内空気中のラドン濃度は27.0~68.2Bq/m3で、国が公布した『住宅内ラドン濃度抑制基準』を下回っている。杭州と上海の空気中のトリチウム含有量がわずかにバックグラウンド・レベルにある。

  2006年、全国では松花江水系の5ヵ所、海河水系の15ヵ所、淮河水系の5ヵ所、黄河水系の10ヵ所、長江水系の32ヵ所、珠江水系の14ヵ所、浙閩水系の14ヵ所の主な河川のモニタリング断面、滇池と太湖など9ヵ所の主な湖と北京の蜜雲ダム、天津気里海ダムなどの18ヵ所のダムのモニタリング垂線、東シナ海、黄海、渤海近海の水質モニタリング・ポイントについては、いずれも人工放射性元素の汚染は検出されず、天然放射性元素の含有量は依然としてバックグラウンド・レベルを維持し、海水中の人工放射性元素90Sr、137Csの含有量はいずれも中国海水水質基準を下回っていた。全国20ヵ所の飲用水モニタリング展開都市の飲用水の総アルファ線、総ベータ線の放射性比活度は、いずれも国の生活飲料水衛生基準を下回っており、飲料基準を満たしている。

 土壌 2006年には、北京、天津、上海、長春、ハルピン、南京、青島、浙江、福州、南昌、貴州、昆明、西安、重慶、蘭州、新疆の土壌中の放射性元素含有量と全国の天然放射性元素レベル調査時の測定値と比べ同一レベルだった。

 都市放射性廃棄物一次保管庫周囲の放射線環境 2006年、北京、包頭、河北、安徽、山東、重慶、貴州、陝西、寧夏、青海、上海地域の11ヵ所の都市放射性廃棄物一次保管庫及びその周囲の環境モニタリング結果では、周囲の環境ガンマ線空気吸収線量率、水と土壌の中の放射性元素含有量は、他の環境と顕著な差異が無く、同一レベルだった。

1.11.2 原子力の安全と放射線環境管理

 法規・基準 2006年、国家環境保護総局は商務部(商務省)と合同で『輸入を制限する放射性同位元素リスト』を公布し、衛生部と合同で『放射線装置分類規則』を公布実施し、公安部、衛生部と合同で、放射性同位元素と放射線装置の放射線事故の等級別処理と報告制度に関する発送し、制度を確立した。国家原子力安全局は『民間用原子力施設安全監督管理条例実施細則の3――研究炉安全許可証明書の申請と交付規定』を公布し、『核動力工場の安全評価と検証』、『103/11核動力工場定期安全審査』、『核動力工場運営組織の組織と安全運行管理』の3つの原子力安全指導規則を承認し公布した。

 組織の構築 2006年、国家環境保護総局は東北核と放射線安全監督ステーション、西北核と放射線安全監督ステーションを設立し、また上海核と放射線安全監督ステーション、広東核と放射線安全監督ステーション、四川核と放射線安全監督ステーション、北方核と放射線安全監督ステーションを拡大した。一部の省(自治区・直轄市)の放射線安全管理組織と能力はいっそう強化され、人員編成、機構職能がいっそう拡大された。

 放射線事故 2006年、全国では合計34件の放射線事故が発生し、特大事故の発生は無く、重大事故が2件、比較的大きな事故が5件、一般事故が27件だった。これらの事故はいずれも放射線源の紛失、盗難あるいは制御不全により起こったもので、事故の主要な原因は放射線源の使用組織が放射線源の安全警備業務を軽視していたためである。1名のスタッフが放射線被曝損傷を受けた以外、環境に対する汚染は起きておらず、集団的事件は1件も発生していない。

 原子力施設の安全監督管理 2006年に、稼働中の原子力発電所、研究原子炉、核燃料循環施設、放射性物質輸送、放射性廃棄物の貯蔵と処理処置施設などでは、2級以上の安全事件あるいは事故はいずれも発生しておらず、稼働中と建設中の原子力施設の事件、不合格項目は直ちに処理され、原子力施設の稼働の安全は確保されており、建設中の原子力施設の建造品質も有効にコントロールされている。