状況
中国の天然草原面積は3.93億haで、国土総面積の約41.7%を占め、耕地面積の3倍前後、林地面積の2倍余りとなっている。このうち利用可能な草原面積は3.31億haで、草原総面積の84.3%を占める。行政区画別に見ると、チベット自治区の草原面積が最も大きく、約8205万haに及び、当該地区の土地総面積の68.1%を占め、利用可能な面積は約7085万haとなっている。これに次ぐのが内モンゴル自治区で、天然草原面積は約7880万haに及び、当該地区の土地総面積の68.8%を占め、利用可能な面積は約6359万haに及ぶ。草原面積が1500万ha以上の省(自治区)はほかに新彊、青海、四川、甘粛、雲南の5省(自治区)が、500~100万haは広西、黒竜江、湖南、湖北、吉林、陝西の6省(自治区)がそれぞれ挙げられる。
草原虫害・鼠害 2005年の全国における草原鼠害被害面積は3800万ha近くに達した。このうち深刻な危害を受けた面積は2133.3万haに近く上った。長年に及ぶ鼠類による危害を受けて形成された「鼠害による荒廃地」または「黒土灘[1]」と呼ばれる面積は800万haに達し、全国における13の鼠害頻発省の利用可能な草原総面積の2.87%を占める。鼠害ゼロモデル区の建設プロジェクトによる牽引を通じて、通年の防除面積は665.8万haに達し、牧草だけで経済損失5.99億元を取り戻した計算となる。
2005年の全国における草原害虫被害発生面積は1866.7万haに達し、全国13の鼠害頻発省の利用可能な草原総面積の6.69%を占めた。このうち草原のイナゴによる被害面積は1266.7万haに上った。害虫被害は内モンゴル、新彊、青海、四川、甘粛などでとりわけ深刻だった。通年の防除面積は284.3万haで、経済損失2.54億元を取り戻した。退牧還草[2]事業の実施によって、草原の生態・植生が改善されたことに加え、過去2年余りにわたって防除の強化・拡大が図られたことにより、2005年における草原の虫害発生面積は前年に比べて目立って減少した。
草原生産力及び牧草地帯の衰退 2005年の草原生産力ほぼ前年並みだった。天然草原の生草総生産量は93784万t、乾草換算で約29421万t、家畜収容力は約23031万頭(羊換算頭数)となっている。全体として見た場合、生態整備プロジェクト地区を除き、全国の天然草原にはいずれも程度は異なるものの家畜の過放牧が見られる。17の重点モニタリング省・自治区における天然草原の家畜収容能力の超過率は平均35%に達し、このうち内モンゴル、新彊、甘粛、四川などの省・自治区の収容能力の超過率は40%以上に達している。
目下のところ、全国の90%の利用可能な天然草原に程度は異なるものの、衰退が見られ、全国の草原生態環境をめぐる「局部改善、全体悪化」という傾向は未だ効果的に抑制されていない。草原の衰退激化の主な原因は以下の通り:第一に、草原の過放牧傾向について、根本的な転換が図られていない。第二に、不適切な開墾、工業汚染、鼠害及び虫害など、草原に対する破壊が存在している。第三に、むやみな採集、掘り起こしなどによる破壊草原現象が度々発生している。
重点草原地区の草生産量の変化状況
省 |
草生産量(万t) |
変化量 |
変化率 |
2004年 |
2005年 |
(万t) |
(%) |
河北 |
1103.4 |
1097.9 |
-5.5 |
-0.5 |
山西 |
810.8 |
805.3 |
-5.5 |
-0.68 |
内モンゴル |
6050.3 |
6037.1 |
-13.2 |
-0.22 |
遼寧 |
209 |
219.2 |
10.2 |
4.89 |
吉林 |
474.5 |
504.3 |
29.9 |
6.3 |
黒竜江 |
1411.9 |
1470.9 |
59 |
4.18 |
広西 |
504.9 |
495.6 |
-9.2 |
-1.83 |
重慶 |
280.7 |
251.4 |
-29.3 |
-10.44 |
四川 |
2611.1 |
2686.7 |
75.6 |
2.9 |
貴州 |
411.1 |
374.6 |
-36.5 |
-8.87 |
雲南 |
1450.3 |
1154.9 |
-295.5 |
-20.37 |
チベット |
2669.1 |
2648 |
-21.1 |
-0.79 |
陝西 |
809.8 |
805.3 |
-4.5 |
-0.56 |
甘粛 |
1300.4 |
1378.7 |
78.3 |
6.02 |
青海 |
3280.8 |
3627 |
346.2 |
10.55 |
寧夏 |
145.9 |
126.6 |
-19.3 |
-13.23 |
新彊 |
3552.3 |
3557.6 |
5.3 |
0.15 |
草原火災、雪による災害 2005年の全国における草原火災件数は566件に上った。内訳は草原火災[3]499件、一般草原火災[4]63件、重大草原火災[5]3件、特大草原火災[6]1件。草原被害面積は53416.36haで、死傷者はなかった。重大・特大草原火災の回数及び草原被害面積は依然として過去最低水準だった。前年に比べて、草原火災の回数は77件増え、増減率は15.75%となった。重大草原火災は25%減の1件、草原被害面積は112.6%増の28291.66haに達した。
概算統計によると、2005年冬から2006年春の、内モンゴル、新彊、青海、甘粛、チベット5省・自治区における雪による災害で、家畜2296万頭(匹)余りが被災し、災害によって家畜90.45万頭(匹)が死亡、直接経済損失は1.5億元に達した。
措置・行動
【退牧還草事業の実施】2005年、中央による退牧還草事業への投資は18.81億元に達し、建設任務666.67万ha、草原における補播200万haが、内モンゴル東部草原衰退地区、内モンゴル甘粛・寧夏西部草原砂漠化地区、青蔵高原東部河川源流草原地区、新彊北部草原衰退地区の4大エリアで実施され、波及範囲は内モンゴル、四川、雲南、チベット、青海、甘粛、寧夏、新彊の8省・自治区及び新彊生産建設兵団の116県(旗、団・場)に及んだ。12月末現在、事業建設は順調に進んでいる。退牧還草事業プロジェクトの実施進度計画に基づいて囲い柵を設置、設置完了面積は600万ha余りに達した。新彊、内モンゴル、甘粛、四川、寧夏の5省・自治区の代表性を備えた20の退牧還草事業プロジェクト県を選択した上で行ったモニタリング及び効果評価によると、退牧還草事業プロジェクト区の植生は顕著に回復し、牧草生産量が46%アップした。
【草原の保護・造成】草原をめぐる家庭請負経営制がよりいっそう整備された。全国における草原請負実施面積は既に2億ha余りに達し、利用可能な草原面積の約70%を占めており、農牧民の草原の保護・造成に対する積極性を効果的に引き出している。全国の植草をめぐる累計保存面積は0.27億ha超、草原の囲い設置面積は0.33億ha超、全国の禁牧面積は0.33億ha超にそれぞれ達している。牧畜区及び半牧畜区の天然草原の放牧に頼るという生産方式が徐々に転換され、2000万頭余りの家畜について、天然草原の放牧から畜舎飼い・囲い飼いへの転換が図られている。一部地方では草関連業の産業化経営を積極的に導き、乾草製品200万t余りを加工し、草原牧畜業の持続可能な発展を促進している。
【草原立法と法執行】草原の超負荷・過放牧問題に焦点を合わせて、『草原法』に基づき、農業部は『草原平衡管理規則』を制定し、2005年3月1日から施行した。一部地方の違法な草原の破壊など際立った問題に対して、農業部は『草原監督活動のさらなる強化に関する通知』を発し、全国の草原監督管理活動について、全体的な手配を行った。カンゾウ及びマオウ草資源を保護するため、農業部は国家発展・改革委員会と合同で、『2005年度カンゾウ・マオウ草採集・買付計画の下達に関する通知』を印刷・配布した。全国人民代表大会農業・農村委員会と連係し、新彊、内モンゴル、四川などの省・自治区に赴き、『草原法』の実施徹底状況に関する調査・研究を展開し、『草原法』の実施徹底活動のさらなる推進を図った。
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[1] 鼠が穴を掘る際に黒土を掘り出すことで地面の草が覆われてしまうとともに、鼠が草や根を食い尽くすことで不毛の地に変わってしまった土地を指す――訳注
[2] 草地での放牧を停止して草を育成すること――訳注
[3] 火災による草原被害面積が100ha以下で、かつ直接経済損失が1万元以下の火災を指す――訳注
[4] 火災による草原被害面積が100ha以上2000ha以下、または直接経済損失が1万元以上5万元以下、または重傷者が10人以下、または死亡者が3人以下、または死亡者・負傷者の合計が10人以下(うち、死亡者は3人以下)の火災を指す――訳注
[5] 火災による草原被害面積が2000ha以上8000ha以下、または直接経済損失が5万元以上50万元以下、または重傷者が10人以上20人以下、または死亡者が3人以上10人以下、または死亡者・負傷者の合計が10人以上20人以下(うち、死亡者は3人以上10人以下)の火災を指す――訳注
[6] 火災による草原被害面積が8000ha以上、または直接経済損失が50万元以上、または重傷者が20人以上、または死亡者が10人以上、または死亡者・負傷者の合計が20人以上(うち、死亡者は10人以上)の火災を指す――訳注
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