状況
都市の大気質は総体的に前年に比べ改善が見られたものの、一部都市では汚染が依然深刻である。
2006年にモニタリングを行った559の都市のうち、地区レベルおよびそれ以上の都市(含地区、州、盟の政府の所在地を含む、以下も同じ)は322、県レベルの都市は237あった。大気質が1級基準を達成した都市は24都市(対全体比4.3%)、2級基準を達成した都市は325都市(同58.1%)、3級基準を達成した都市は159都市(同28.5%)、3級基準以下の都市は51都市(同9.1%)だった。主要汚染物質は吸入可能粒子状物質[1]である。
前年に比べ(比較可能な都市のうち)、都市の大気質が2級を達成したまたはそれを上回った都市の比率は前年に比べ4.7ポイントアップした。3級以下の都市の比率は前年に比べ、2.1ポイントダウンした。都市の大気質は総体的に改善が見られた。

都市環境の大気質の年度別比較
大気質のレベル |
2006年 |
2005年 |
2級達成またはそれ以上(基準達成)、% |
56.6 |
51.9 |
3級、% |
34.9 |
37.5 |
3級以下、% |
8.5 |
10.6 |
空気中の主要汚染物質 粒子状物質(PM)は、都市の大気質に影響を及ぼす主要な汚染物質である。全国の66.5%の都市で粒子状物質の年平均濃度が2級基準達成またはそれ以上となり、7.0%の都市で粒子状物質の年平均濃度が3級基準以下となった。
比較可能な都市のうち、前年に比べて、62.8%の都市で粒子状物質の濃度が2級基準を達成したまたはそれ以上となり、前年に比べ3.3ポイントアップした。5.3%の都市で3級基準基準を上回り、前年に比べ0.2ポイントダウンした。粒子状物質による汚染状況は前年に比べ改善が見られた。
粒子状物質による汚染が比較的深刻な都市は主に山西、新疆、甘粛、北京、陝西、寧夏、四川、内モンゴル、河北、湖南、遼寧、河南、重慶、天津、江蘇などの省(自治区、直轄市)に分布している。

大気質のレベル |
2006年 |
2005年 |
2級達成(基準達成)、% |
62.8 |
59.5 |
3級、% |
31.9 |
35.0 |
3級以下、% |
5.3 |
5.5 |

2006年、全国の二酸化硫黄の年平均濃度が2級基準を達成したまたはそれ以上となった都市は86.8%、3級基準を上回った都市は3.6%を占めた。比較可能な都市のうち、前年に比べて、二酸化硫黄の年平均濃度が国家2級基準を達成したまたはそれ以上となった都市の比率は4.3ポイントアップし、国家3級基準を上回った都市の比率は2.1ポイントダウンした。二酸化硫黄による汚染は減少した。
二酸化硫黄による汚染が比較的深刻な都市は主に山西、内モンゴル、雲南、新疆、貴州、甘粛、河北、湖北、広西、湖南、四川、遼寧、河南、重慶、天津などの省(自治区、直轄市)に分布している。
都市の二酸化硫黄の年度別比較
大気質のレベル |
2006年 |
2005年 |
2級達成(基準達成)、% |
81.7 |
77.4 |
3級、% |
13.9 |
16.1 |
3級以下、% |
4.4 |
6.5 |
すべての統計対象都市の二酸化窒素濃度がいずれも国家2級基準を達成したものの(このうち87.4%の都市が国家1級基準を満たしている)、広州、北京、ウルムチ、深セン[2]、蘭州などの大都市の二酸化窒素濃度は比較的高かった。二酸化窒素の大気質レベル分布は、前年に比べ変化はわずかであった。
重点都市の大気質 環境保全重点都市113のうち、50都市で大気質が国家2級基準(対全体比44.2%)、55都市が3級(同48.7%)、8都市が3級以下(同7.1%)であった。前年に比べ、基準達成都市の比率は1.7ポイントアップし、3級以下の都市は0.9ポイントアップした。重点都市の二酸化硫黄の平均濃度は、前年に比べやや減少した。二酸化窒素、可吸入粒子状物質の濃度は前年並みであった。重点都市の大気質は安定を保っている。

酸性雨 2006年に全国で酸性雨のモニタリングが展開された524都市(県)のうち、少なくとも1回以上酸性雨が出現した都市は283(対全体比54.0%)に上り、酸性雨の出現頻度が25%以上の都市は198(同37.8%)、酸性雨の出現頻度が75%以上の都市は87(同16.6%)であった。浙江の建徳市、象山県、湖州市、安吉県、嵊泗県、重慶の江津市の酸性雨の出現頻度は100%であった。
前年に比べ、全国で酸性雨が出現した都市の比率は、3.1ポイントダウン、比較的深刻な酸性雨が出現した都市(降水pH値<5.0)の比率はやや増加し、深刻な酸性雨が出現した都市(降水pH値<4.5)の比率はやや減少した。
2006年全国の降水pHの年平均値統計表
年平均pH値範囲 |
<4.5 |
4.5~5.0 |
5.0~5.6 |
5.6~7.0 |
≥7.0 |
都市数(個) |
56 |
93 |
56 |
231 |
88 |
対全体比(%) |
10.7 |
17.7 |
10.7 |
44.1 |
16.8 |
2006年全国の酸性雨出現頻度の統計表
酸性雨の出現頻度(%) |
0 |
0~25% |
25%~50% |
50%~75% |
≥75% |
都市数(個) |
241 |
85 |
61 |
50 |
87 |
対全体比(%) |
46.0 |
16.2 |
11.6 |
9.5 |
16.6 |

2006年、全国で酸性雨の出現頻度が5%以上の地域は、国土面積の32.6%、酸性雨の出現頻度が25%以上の地域は国土面積の15.4%を占めた。
全国の酸性雨分布エリアは、主に長江以南、四川、雲南以東に集中しており、主に浙江、江西、湖南、福建、貴州、重慶の大部分、および長江、珠江デルタ地域を含む。前年に比べ、全国の酸性雨分布エリアは安定している。

■ 排気ガス中の主要汚染物質の排出量
2006年、二酸化硫黄排出量は2,588万8,000t、ばい塵排出量は1,078万4,000t、工業粉塵排出量は807万5,000tであった。
近年来の全国排気中の主要汚染物質排出量
単位:万t
|
二酸化硫黄排出量 |
ばい塵排出量 |
工業粉塵排出量 |
合計 |
工業 |
生活 |
合計 |
工業 |
生活 |
2001 |
1947.8 |
1566.6 |
381.2 |
1069.8 |
851.9 |
217.9 |
990.6 |
2002 |
1926.6 |
1562.0 |
364.6 |
1012.7 |
804.2 |
208.5 |
941.0 |
2003 |
2158.7 |
1791.4 |
367.3 |
1048.7 |
846.2 |
202.5 |
1021.0 |
2004 |
2254.9 |
1891.4 |
363.5 |
1095.0 |
886.5 |
208.5 |
904.8 |
2005 |
2549.3 |
2168.4 |
380.9 |
1182.5 |
948.9 |
233.6 |
911.2 |
2006 |
2588.8 |
|
|
1078.4 |
854.8 |
223.6 |
807.5 |
措置と行動
【エンジン付き車両汚染防止】 2006年、全国におけるエンジン付き車両保有台数は急増の勢いを呈している。通年の自動車生産台数は728万台で、前年に比べ27.6%増加した。このうち乗用車は384万台で、39.7%増加した。自動車販売台数は年間722万台で、前年に比べ25.1%増加した。年末の時点における国民の自動車保有台数は4,985万台(3輪自動車および低速自動車1,399万台を含む)に達し、前年の年末に比べ15.2%増加した。このうち個人の保有台数は2,925万台で、23.7%増加した。国民の乗用車保有台数は1,545万台で、27.2%増加した。このうち個人の保有台数は1,149万台で、33.5%増加した。都市部における自動車による排出汚染問題は、日に日に際立ってきている。
新車、使用中の車両および車両用燃料に対する監督管理のさらなる強化するために、通年で国家環境保護総局は、国家環境保全基準達成車種に関する公告を合わせて12回公布した。2006年末現在、国家第2段階排出基準に達した新車(エンジン)は4万7,966、国家第3段階排出基準に達した新車(エンジン)は4,953台、このうち車載式故障診断システム(OBD、On-board Diagnostics)を搭載した新型車は854台であった。2006年7月1日から国家第2段階排出基準を強制実施するとともに、国家第1段階排出基準にしか達していない各種エンジン付き車両およびエンジンの生産・販売を禁止した。同時に自動車メーカーへの環境保全と生産の一体性に関する監督管理を強化し、23の自動車(エンジン)メーカー、10のオートバイメーカーに対して年度監督検査を行い、検査結果を全社会に公表するとともに、検査不合格の企業に対しては期限内の改善を命じた。
2006年9月1日、国務院の認可を経て、広州市が全国に先駆けて国家の第3段階自動車排出基準を実施し、広州市は、北京市に次いで全国で2番目に国家規定の自動車排出基準を実施する都市となった。
【オゾン層破壊物質排出抑制計画】 2006年末現在、『オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書』の多数国間基金執行委員会は、すでに中国の15の規制計画を認可した。このうち4つの計画はすでに完了し、11は現在実施中である。オゾン層破壊物質(ODS、Ozone Depleting Substances)削減計画は着実に進展している。2006年、多数国間基金執行委員会は、中国の計画実行資金4,750万ドルの拠出を認可し、新たに169の契約書に署名した。投入完了資金は5,364万ドルに達し、完成ODSの生産と消費は約2万5,000t(ODP、Ozone Depleting Potential、オゾン破壊係数)削減された。税関本部は、国家環境保護総局とともにODSの非合法貿易を取り締まる「スカイホールパッチングプロジェクト(空の穴修繕プロジェクト)」を展開し、6件のODS不法輸出入案件を検挙した。国家質量監督検験検疫総局は、クロロフルオロカーボン類(CFCs)を含む産業用冷却装置の不法輸入案件を検挙した。国家環境保護総局はまた現地の地方政府とともに5件のODS不法生産ならびに使用案件を取り締まった。新たにクロロメタン産業の発展政策を公布し、新プロジェクトに対する審査を厳格化した。積極的に四塩化炭素の転化技術を広め、資金補償の原則等を制定した。全国の四塩化炭素生産企業は、すでに四塩化炭素転化処理装置を設置した。中国の四塩化炭素規制に対する不履行によるリスクは著しく低下してきている。
【北京市の大気汚染防止】 エネルギー構造の改善を引き続き推進し、ばい煙による汚染を抑制。2006年、北京市の天然ガス使用量は38億㎥に達し、20t以下の石炭燃焼ボイラー1,479台のクリーンエネルギーへの転化を完了し、2,500戸の平屋家屋の暖房設備の石炭から電気への切り替えを実施した。自動車排気ガス汚染抑制を強化し、旧型タクシー1万5,000台、旧型公共交通車両2,335台の更新・淘汰を完了し、天然ガス公共交通車両4,000台を投入・運行した。オイルタンク、ガソリンスタンド、タンクローリーのオイルガス回収モデル事業を始動した。首都鋼鉄の一部コークス炉停止、北京コークス化学工場の全面生産停止により汚染排出を削減、また北京市の5大石炭燃料火力発電所の脱硫、脱窒素およびばい塵除去対策を強化・促進し、工事現場からの塵埃抑制を強化した。二酸化硫黄の排出量削減の実施を徹底し、通年の二酸化硫黄排出総量を前年度より削減することができた。オリンピックのための環境保全準備事業積極的に取り組み、「少開一天車「自動車利用削減キャンペーン」キャンペーンを実施した。大気環境質量は、ここ8年連続で改善されている。
コラム
全国の環境汚染処理への投資
2006年、全国の環境汚染処理への投資は2,402億8,000万元であった。そのうち都市環境・インフラ建設への投資は1,314億3,000万元、工業汚染源処理への投資は492億7,000万元、新プロジェクト「三同時」(三つの同時)への投資は595億8,000万元であった。2006年、環境汚染処理への投資はGDPの1.15%を占めた。
オゾン層破壊物質の生産と消費状況
オゾン層破壊物質には、クロロフルオロカーボン類(CFCs)、ハロン、トリクロロエタン、四塩化炭素、臭化メチル、ハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFCs)の6大物質がある。中国は、1989年の『オゾン層保護に関するウィーン条約』に正式加入し、1991年の『オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書』締約以来、重要な進展を遂げている。
2006年末、中国の各種オゾン層破壊物質の生産と消費量は、年平均の基準ラインに比べ、クロロフルオロカーボン類(CFCs)が72.2%と78.4%の減少、ハロンが97.6%と99.5%の減少、トリクロロエタンが70%と78.2%の減少、補助薬剤用の25種の四塩化炭素の消費が87.9%の減少、臭化メチルが23.9%と71.9%の減少となり、同議定書の定める段階的目標を順調に達成した。ハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFCs)はオゾン破壊係数が比較的小さい(ODP値は0.001~0.11の間)ため、同議定書は発展途上国に対し、2016年からの規制開始、2040年までの全廃と定めている。しかしハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFCs)は、近年かなり早い速度で増加しており、同議定書締約国会議では全廃のスケジュールに関して調整を進めているところである。
近年来の中国のオゾン層破壊物質の生産量(ODPt)
物質名称 |
2000 |
2001 |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
2006 |
基線ライン |
クロロフルオロカーボン類(CFCs) |
39363 |
36167 |
32269 |
29964 |
25264 |
18700 |
13079 |
47004 |
ハロン |
16214 |
11484 |
7408 |
5653 |
3424 |
5475 |
995 |
40993 |
四塩化炭素* |
53012 |
64152 |
80242 |
59860 |
50195 |
33080 |
28470 |
未定** |
トリクロロエタン |
81 |
39 |
121 |
87 |
106 |
78 |
78 |
113 |
臭化メチル |
1438 |
1391 |
744 |
558 |
317 |
323 |
591 |
776 |
*四塩化炭素の生産量には、四塩化炭素をCFCsの原料とするもの、および四塩化炭素をODSと見なすもののみを含み、その他の規制範囲外の用途は含まない。
**四塩化炭素の基準年(1998-2000年の3年)の最終データは国際機関との協議を経て確定する必要がある。
近年来の中国のオゾン層破壊物質の消費量(ODPt)
物質名称 |
2000 |
2001 |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
2006 |
基線ライン |
クロロフルオロカーボン類(CFCs) |
39124 |
33923 |
30621 |
22809 |
17906 |
13124 |
12470 |
57819 |
ハロン |
14780 |
10409 |
6604 |
4859 |
2239 |
4516 |
161 |
34187 |
四塩化炭素* |
3952 |
4189 |
4440 |
3507 |
3886 |
485 |
461 |
3825 |
トリクロロエタン |
758 |
465 |
381 |
337 |
370 |
187 |
157 |
721 |
臭化メチル |
2101 |
1568 |
1088 |
1008 |
689 |
540 |
310 |
1102 |
*図表中の四塩化炭素消費データは、第10回締約国会議で承認された25種の補助薬剤用の消費量のみを含み、事後承認されたその他の補助薬剤用途の消費量は含んでいない。
環境違法行為に対する厳格な取り締まりおよび環境保全特別対策行動の展開
2006年6月から11月にかけて、国家環境保護総局は国家発展改革委員会、監察部、司法部、工商総局、国家安全生産監督管理総局、国家電力管理監督委員会とともに「2006年違法汚染物質排出企業の取り締まり・国民の健康の保障・環境保全特別行動」を展開した。
全国で環境に関する法律執行人がのべ167万人動員され、企業72万社を立ち入り検査、環境問題2万8,000件を立件・処分した。そのうち違法汚染物質の不法排出企業3,176社を閉鎖した。7つの関係部門が2度にわたり合計13の合同監査チームを組織し、12省36市(地区、県)の20ヵ所の飲用水源保護区、44ヵ所の工業団地および企業207社に対して監査を行った。国家環境保護総局および監察部は、合同で3回、計16の環境違法案件の公開処分を行った。案件は、13省133社に及び、責任者31人を処分、そのうち2人は刑事責任を追及された。全国各地で計5,701件の環境違法案件公開処分を行った。そのうち省レベルでの公開処分は526件に上った。
2006年全国特大・重大環境汚染事故の発生状況
国家環境保護総局は、『環境保全行政主管部門突発環境事件情報報告規則』、『環境保全総局突発環境事件緊急工作暫定規則』を公布した。
2006年、国家環境保護総局が通報を受け処理に当たった突発性環境事故は計161件で、前年に比べ85件増加した。そのうち特別重大事故は3件で、2005年と同数であった。重大事故は15件で、前年に比べ2件増加した。比較的大きい事故は35件で、前年に比べ17件増加した。普通規模の事故は108件で、前年に比べ67件増加した。
事故の原因別では、生産事故により二次的に発生した環境事故が78件で全体の48.4%、交通事故により引き起こされた環境事故が36件で22.4%、企業の違法汚染物質排出により起きた環境事故が22件で13.7%、その他が25件で15.5%であった。汚染類型別では、水質汚染事故が95件で59.0%、大気汚染事故が57件で35.4%、土壌汚染事故が7件で4.4%、その他が2件で1.2%である。
[1]Particular matter less than 10㎛、PM10――訳注。
[2]土に川――訳注。
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