自然生態

状況

自然保護区 2006年、国務院は山西、内モンゴルなどの17省と自治区に国家レベル自然保護区22ヵ所を設立することを認可した。総面積は286万2,500haに及ぶ。また、遼寧の丹東鴨緑江口湿地、江蘇の塩城湿地珍鳥類、四川の亜丁の3つの国家レベル自然保護区の範囲および区画の調整を認可した。

2006年末現在、全国で各種類型、各レベルの自然保護区2,395ヵ所が設立されており、総面積は1億5,153万5,000haに及ぶ。そのうち国家レベルの自然保護区は265ヵ所、面積は9,169万7,000haで、全国の自然保護区の総数および総面積の11.06%、60.51%をそれぞれ占めた。保護区の総面積のうち、海域面積は600万ha、陸域面積は1億4,553万5,000haで、陸域自然保護区の面積が国土面積に占める比率は15.16%であった。前年に比べて、自然保護区は46ヵ所、面積にして158万6,000ha増加した。

全国自然保護区統計表(2006年末現在)

数量(ヵ所)

面積(ha

国土面積に占める比率%

 

国家レベル

省レベル

市レベル

県レベル

合計

国家レベル

省レベル

市レベル

県レベル

合計

 

北京

1

12

6

0

19

4660

9148

36150

0

132308

7.86

天津

3

6

0

0

9

100949

6346

0

0

164385

14.50

河北

8

20

2

5

35

105802

457800

8806

24626

597034

3.19

山西

5

40

0

0

45

82936

1045392

0

0

1128328

7.22

内モンゴル

21

54

33

84

192

3489958

7435568

436311

2128068

13489905

11.40

遼寧

11

28

33

17

89

1162126

838786

691373

95652

2787937

10.91

吉林

9

15

4

5

33

679081

1523238

8779

18831

2229929

12.34

黒竜江

15

53

35

73

176

1709320

2427017

419367

866025

5421729

11.93

上海

2

2

0

0

4

66175

27646

0

0

93821

14.79

数量(ヵ所)

面積(ha

国土面積に占める比率%

 

国家レベル

省レベル

市レベル

県レベル

合計

国家レベル

省レベル

市レベル

県レベル

合計

 

江蘇

3

10

8

17

38

336211

111684

128832

116217

692944

6.75

浙江

9

8

0

35

52

96724

125915

0

41768

264407

2.59

安徽

6

27

0

2

35

164282

263652

0

6708

434642

3.34

福建

11

28

7

47

93

187760

155845

75354

88544

507503

3.06

江西

5

25

1

103

134

81536

346749

1560

491095

920940

5.53

山東

5

25

24

21

75

239674

471695

252850

133122

1097341

6.63

河南

10

19

1

2

32

378941

373931

163

1400

754435

4.52

湖北

7

17

21

18

63

166418

391514

312260

143764

1013956

5.45

湖南

11

31

0

53

95

415925

433257

0

256439

1105621

5.22

広東

9

49

106

135

299

175193

621383

369064

2277486

3443126

4.64

広西

12

46

3

11

72

221062

944445

118947

141264

1425718

5.89

海南

8

25

9

27

69

83637

2635511

16205

76815

2812168

5.28

重慶

3

19

0

28

50

195512

373362

0

347634

916508

11.14

四川

20

64

31

49

164

1593112

3969115

1453108

2053496

9068831

18.57

貴州

7

4

22

95

128

217308

70453

276344

385820

949925

5.40

雲南

16

52

71

59

198

1431215

1888471

557307

349846

4226839

10.73

チベット

9

6

1

22

38

37153065

3816144

70

1504

40970783

34.14

陝西

7

36

4

3

50

266452

683356

61534

34602

1045944

5.08

甘粛

13

40

0

4

57

6861230

2907645

0

114900

9883775

21.68

青海

5

6

0

0

11

20252490

1506820

0

0

21759310

30.20

寧夏

6

7

0

0

13

439208

67575

0

0

506783

9.78

新疆

8

19

0

0

27

13339066

8349099

0

0

21688165

13.55

合計

265

793

422

915

2395

91697028

44418002

5224384

10195626

151535040

15.16

2006年末における自然保護区の類型構造

類型

数量

面積

総数量(ヵ所)

全体に占める比率(%)

総面積(ha)

総面積に占める比率(%)

自然生態系類

森林生態系

草原および湿原生態系

砂漠生態系

内陸湿地帯および水域生態系

海洋生態系

1593

1205

45

25

250

68

66.51

50.31

1.88

1.04

10.44

2.84

10366.45

3362.37

319.35

3966.78

2616.42

101.53

68.41

22.19

2.11

26.18

17.27

0.67

野生生物類

野生動物

野生植物

669

511

158

27.93

21.34

6.60

4609.08

4318.46

290.62

30.42

28.50

1.92

自然遺跡類

地質遺跡

古生物遺跡

133

101

32

5.55

4.22

1.34

177.97

125.55

52.43

1.17

0.83

0.35

合計

2395

100

15153.50

100

生態系 中国は地球上の各種陸生生態系を有しており、かつ多種の気候型および土壌型を含む。主に森林、潅木林、湿原、沼沢地、草原、サバンナ、砂漠、ツンドラなど、合計約595類(群系)を有している。水生生態系は、各種河川生態系、湖沼生態系および海洋生態系を有している。

 中国は、世界で種数が最も豊富な国の一つである。魚類を除き、中国には2,619種の脊椎動物が存在する。そのうち、哺乳類は581種、鳥類は1,331種、は虫類は412種、両生類は約295種であった。3万種余りの高等植物が存在し、このうち、蘚苔類が約2,200種で、世界の9.1%を占め、シダ植物が2,200~2,600種で、世界の22%を占める。裸子植物は10科、34属、約250種で、それぞれ世界に現存する裸子植物の科、属、種の66.6%、41.5%、37.8%を占め、世界で裸子植物が最も豊富な国となっている。被子植物は約328科、3123属、3万種余りで、それぞれ世界全体の科、属、種の75%、30%、10%を占める。この他、中国国内で記録された昆虫は約3,000種余りに及ぶ。

中国は種の特有性が比較的高い。脊椎動物のうち、特有種は667種に達し、中国の脊椎動物総種数の約10%を占める。3万種余りの高等植物のうち、約1万7,300種が特有種で、全体の57%以上を占める。ジャイアントパンダ、トキ、華南トラ、ターキン、チベットアンテロープ、ミミキジ、カラニジキジ、ヨウスコウイルカ、ヨウスコウワニ、メタセコイア(アケボノスギ)、カタヤ・アルギロフィルラ、ハンカチノキ(ダビディア)、タイワンスギ、イチョウ、「百山祖冷杉(Abiesbeshanzuensis M.H.Wu)」、「香果樹(Emmenopteryshenryi Oliv.)」などはいずれも中国特有の絶滅のおそれのある希少野生動物及び植物である。

絶滅のおそれのある種 野生動植物種保護事業の継続的な推進に伴い、絶滅のおそれのある種の生息地に対する保護及び回復を通じて、大部分の国家重点保護野生動植物の野外資源が急減するという傾向は、既に効果的に抑制されており、個体群の状況も徐々に安定に向かっている。トキの数は、1981年に発見された当時の7羽から、現在の1,000羽余りにまで増加した。2006年、中国ではジャイアントパンダ30頭の人工繁殖に成功し、新記録を達成した。現在ジャイアントパンダ215頭の人工飼育を行っている。ターミンジカは、30年前の26頭から1,600頭余りに増加した。50年代には国内で見かけなくなっていたヒガシクロテナガザルが現在広西省で新たに発見された。中国の植物園は160ヵ所余りに達し、うち60%の高等植物種が生息域外保全を受けている。

湿地生物多様性 中国は世界で湿地の類型・数量が最も豊富な国の一つである。100ha以上の湿地の総面積は、3,848万ha(香港、マカオ、台湾を含まない)で、国土総面積の約4%、世界湿地総面積の約10%をそれぞれ占め、アジア第1位、世界第4位であった。そのうち自然湿地の面積は3,620万haで、海岸湿地594万ha、河川湿地820万ha、湖沼湿地835万ha、沼沢湿地1370万haを含む。

中国の湿地は、生物種が非常に豊富である。このうち植生は約101科、815属、2,276種(種以下の分類も含む)に上る。湿地の野生動物のうち、魚類は1,000種(または亜種)余り、は虫類は122種、獣類は31種、鳥類は271種であった。そのうち国家重点保護対象の鳥類は56種である。アジアの57種の絶滅の危機に瀕する鳥類のうち、中国の湿地内に31種が生息しており、54%を占める。全世界の鶴類15種のうち、中国の湿地で記録されたものは9種で、60%をしめる。全世界の雁鴨類166種のうち、中国の湿地には50種が生息し、30%を占める。

措置と行動

【中国生態安全ハイレベルフォーラム】 世界環境デーを記念し、国家環境保護総局は2006年6月5日、「中国生態安全ハイレベルフォーラム」を召集した。曽培炎副総理が会議に出席し、『生態環境を保全し、生態の安全を守り、中華民族発展の基礎を固めよう』と題した重要な演説を行った。

【自然保護区の管理保護および生態機能保護区の整備】 国家環境保護総局、林業局、農業部などの7つの部門は、合同で「中国自然保護区発展50周年記念大会」を召集し、曽培炎副総理が各代表者と接見し、重要な演説も行った。2006年、財政部は、5,000万元の特別資金を投入し54の国家レベル自然保護区の機能の整備を実施した。国家環境保護総局は『国家レベル自然保護区監督検査規則』を公布し、関係部門とともに『国家重点生態機能保護区計画(2006~2020年)』を作成し、甘粛の甘南、雲南の東川および江西の東江源の3つの国家レベル生態機能保護区に対し審査を行った。

【生物種資源および生物多様性の保護】 2006年、国家環境保護総局は、生物種資源保護部門間合同会議のメンバーとともに『全国生物種資源保護および利用計画』を作成し、『生物遺伝資源管理条例』を起草して、第4回生物種資源保護部門間合同会議を召集した。国家知識産権局は、『特許法』の修訂を行い、特許申請時に生物遺伝資源の出所の公表を義務化した。国家質量監督検験検疫総局は、『生物種資源搬入搬出検査検疫管理規則』を起草した。国家環境保護総局が教育部、農業部、国家林業局、中国科学院、国家中医薬(=漢方医・漢方薬)管理局などの部門と合同で引き続き展開していた全国生物種資源重点調査活動は、一連の重要な成果を上げ、国家生物種資源データバンク作成で初歩的な成果が得られた。国家の知的財産権戦略研究において「生物資源の知的財産権問題に関する研究」は段階的目標を達成した。

農業部は、江西などの10省と合同で農業に関する野生植物資源調査を行った。調査が行われた野生植物はのべ1,700種余りに達し、採集、鑑定および製作された植物標本は2,200部余りに上る。これにより一部野生植物資源の地理的分布状況の把握がなされた。農業に関する野生植物の研究および利用を強化し、雷州半島および海南島北部が中国の普通野生稲の遺伝多様性の中心であることを確定した。中国の野生大豆の71%の遺伝多様性を代表する61のミニコアコレクション(mini-core collection)の材料を研究・作出し、野生大豆、野生稲および小麦の近縁野生植物データバンク(6,708の野生大豆、4,113の小麦の近縁野生植物、7,324の野生稲を含む)を作成した。優れた資源の鑑定・評価、遺伝子解析およびクローン技術の研究も多くの成果を上げた。

【外来侵入種の防除】 2006年、全国の26の国家レベル自然保護区で有害な外来侵入種の調査が行われた。その結果、26の自然保護区にはいずれも有害な外来侵入種が存在しており、合計で131種に上った。島嶼部、熱帯地域などの低緯度地区における被害がやや深刻で、被害を受けた種類も比較的多い。高緯度地区では被害がやや軽く、被害を受けた種類も比較的少ない。「紫茎沢蘭」[1]は現在中国西南地区で最も被害が深刻な有害外来進入種である。

農業部は引き続き、「10省100県」外来侵入種滅毒・駆除活動を実施し、対ブタクサ、カナダアキノキリンソウ、「紫茎沢蘭」など8種の被害が深刻な外来侵入種に対し、集中的に駆除を実施した。駆除面積は1,443万ムーに達し、53万ムーの総合防除モデル区を設立した。

【条約の履行および国際協力】 2006年3月、中国政府代表団は、ブラジルで開催された『生物の多様性に関する条約』第8回締約国会議および『生物の多様性に関する条約のバイオセイフティに関するカルタヘナ議定書』[2]第3回締約国会議に出席した。『生物の多様性に関する条約』第8回締約国会議では重点的に島嶼部の生物多様性、乾燥地帯および半乾燥地帯の生物多様性、全地球の生物多様性の分類に関する提議、遺伝資源の獲得および利益分配、第8(j)条および関連条項とその宣伝、教育および公衆意識などの議題に関して深く審議を行い、34の決定事項が採択された。中国は初めて締約国として『生物多様性条約カルタヘナ議定書』第3回締約国会議に参加し、ミーティングにおいて、UNEP/GEF『中国バイオセイフティ枠組プロジェクト』は授賞した。国家環境保護総局は、また関係部門と合同で『<バイオセイフティに関するカルタヘナ議定書>履行に関する国家方案』を制定した。

2006年、中国は「中国生物多様性パートナー関係枠組みプロジェクト」および「中国-EU生物多様性プロジェクト」を始動した。中国生物多様性パートナー関係枠組みプロジェクトは、国家環境保護総局、財政部が指揮を執り、財団法人地球・人間環境フォーラムに資金援助を申請する中・長期プロジェクトであり、これにより全面的・総合的・系統的な生物多様性保護の協力体制を確立する狙いがある。「中国-EU生物多様性プロジェクト」は、中国政府とEUが生物多様性の分野で行う最大の協力プロジェクトである。その主旨は、中国の『生物多様性条約』履行能力を強化することによって、生物多様性保護情報およびモニタリングの体系を設立し、生物多様性保護の宣伝を拡大し、中国における生物多様性保護に関する政策・法律体系の整備を推進することにある。

【自然資源開発と生態環境監督・管理】 2006年、国家環境保護総局は『全面的取り締まりの徹底および鉱産資源開発秩序の規範化に関する取り組みの通知』を公布し、各レベルの環境保全部門に、認識を高め、鉱産資源開発における環境違法行為の捜査・処分を全力で行うよう求めた。合計で2万5,000社の鉱山企業を検査し、うち処分・閉鎖が4,709社、環境安全のリスクを取り除いたものが1,461社であった。ぼた山や火力発電所の廃コークス堆積所の崩壊により引き起こされた突発性環境事故に対し、国家環境保護総局、国家安全生産監督管理総局は合同で『ぼた山崩壊による突発的環境事故防止に関する通知』を公布した。国家発展改革委員会は、国家環境保全総局などの部門と合同で『山西省における石炭工業の持続可能な発展政策措施パイロットケース実施に関する意見』を制定し国務院の認可を経て、石炭採掘業における生態環境回復補償メカニズムの確立を毅然と求めた。財政部、国土資源部、国家環境保全総局は合同で『鉱山環境処理と生態回復責任制メカニズムの段階的構築に関するガイドライン』を下達した。国家旅遊局、国家環境保全総局、建設部は合同でエコツアーに関する環境保全事業会議を召集し、旅行資源の持続可能な利用を促進した。

コラム

エコ省(市、県)の建設

2006年、四川、広西、遼寧、天津でエコ省(区、市)の整備がなされた。エコ省整備がなされた省(区、市)はこれで13になった。6月5日、江蘇省の張家港市、常熟市、崑山市、江陰市、上海市の閔行区、浙江省の安吉県など6つの市(区、県)が初回の国家エコ市(区、県)に命名された。国家環境保護総局は、社会主義新農村建設と結びつけて、『国家レベルエコ村建設基準(試行)』を制定した。

鉱山の環境保全および整備

一部統計によると、2006年までに全国で鉱業開発用に占有された、またはそれにより損なわれた土地面積は154万5,000haに上った。そのうちはぼた山・集積所91万5,000ha、露天採鉱23万ha、採鉱場の陥没33万haだった。

2006年、中央財政の鉱山環境処理特別資金は10億6,000万元に上った。2005年に比べて40%増加となり、341の項目、全国31の省(自治区、直轄市)および10余りの中央による企業の各種鉱山、40を越える鉱種をカバーした。初期的統計によると、2006年に全国で回復処理がなされた鉱山面積は44,841haに上る。

地質遺跡の保護および地質公園

2006年、地質遺跡の保護事業はさらに強化された。中央財政は、地質遺跡保護特別資金として1億5,000万元を計上し、内訳は87項目にわたり、西部地区および東北旧工業基地の重点的支援にあてた。

2006年、16の国家地質公園および2つの世界地質公園が相次いで開園した。全国で開園された国家(世界)地質公園の総数は81ヵ所に上る。

泰山などの6つの国家地質公園は、国連教育科学文化機関(UNESCO)の世界地質公園に認定されている。2006年末現在、中国は18の世界地質公園を有している。

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[1]フジバカマの一種。学名:Eupatorium adenophorum Spreng、英名:Crofton Weed――訳注。

[2]以下、『生物多様性条約カルタヘナ議定書』とする――訳注。