基本目標
『国民経済・社会発展第11次5ヵ年計画綱要』[1]は、「第11次5ヵ年計画」期間中に国内総生産(GDP)のエネルギー消費を20%前後減少させ、主要汚染物質の排出総量を10%減少させる制限目標を打ち出した。「第11次5ヵ年計画」の汚染物質排出削減の二項目の制限目標とは、2010年までにCODと二酸化硫黄の排出量をいずれも2005年比10%減少させること、つまり全国のCOD排出量を2005年の1,414万2,000tから1,272万8,000tに、二酸化硫黄排出量を2,549万4,000tから2,294万4,000tに減少させることである。
2007年の汚染物質排出削減業務の主な目標は、設市都市[2]での汚水処理能力を一日当たり1,200万t増加させ、再生水利用能力を一日当たり100万t増やし、COD排出量削減能力を年間60万tとし、現行の火力発電所に3,500万kWの脱硫施設を投入して年間123万tの二酸化硫黄排出削減能力を構築し、標準石炭3,150万tを節約して二酸化硫黄40万tを削減し、パルプ、アルコール、化学調味料、クエン酸等の製造業界における立ち遅れた生産能力の淘汰を強化し、CODを62万t削減することであった。
主要汚染物質の削減状況
2007年、全国のCOD排出量は1,381万8,000tで、2006年比3.2%減だった。二酸化硫黄排出量は2,468万1,000tで、同4.7%減だった。2005年に比べ、COD排出量は2.3%減、二酸化硫黄排出量は3.2%減で、初のダブル減を達成した。
努力を経て、全国の都市部の汚水処理率は2006年の57%から2007年の60%に上昇した。脱硫設備の容量は2億6,600万kWに達し、脱硫設備を設置している火力発電ユニットがすべての火力発電ユニットに占める比率は2006年の32%から2007年の48%に上昇した。2007年、全国759の地表水国家モニタリング断面における過マンガン塩指数の平均濃度は6.5ml/Lで、2006年比7%減だった。113の環境保護重点都市で大気質が「良好」の日数が占める比率は2006年比2.3ポイント上昇した。
主な措置
2007年、国務院は全国省エネ・排出削減業務テレビ電話会議を開き、『省エネ・排出削減総合業務方案』を発行し、『省エネ・排出削減統計モニタリング・審査の実施方案と方法』を回覧した。各地区・部門はこれを非常に重視し、一連の汚染物質排出削減政策を発表し、業務は明らかに強化された。各省、自治区、直轄市はそれぞれ省エネ・排出削減業務会議を開き、省エネ排出削減業務について部門を設置し、省エネ・排出削減業務に対する指導と協力を強めた。
汚染物質排出削減を中心とした業務を巡り、松花江流域・重点湖沼・河川汚染防止会議が相次いで開かれ、負荷に耐えない河川や湖沼の休養回復措置を打ち出し、水環境整備の新構想、新対策を明確にし、重点流域の汚染処理を進めた。さらに一連の排出基準とクリーン生産基準を改正、公布し、重点業界の汚染負荷の削減に尽力した。財務・税制、融資、価格、保険、貿易などの関連政策措置を発表し、汚染物質排出削減を奨励する長期的メカニズムを打ち立てた。「地域制限許可制度」とプロジェクトの環境参入条件を引き上げることにより、発展の根本から汚染の増加を食い止めた。環境保護テーマ活動を実施し、違法行為を厳しく審査、処分した。政府財政は主要汚染物質の排出削減専用基金を設立し、汚染物質の排出削減の統計、モニタリング、審査の「三大システム」構築を重点的に支援し、排出削減業務に確かな保障を行った。『主要汚染物質の総量削減計画編制ガイドライン(試行)』、『「第11次5ヵ年計画」主要汚染物質総量削減審査方法(試行)』、『主要汚染物質総量削減計算細則(試行)』を発行し、排出削減計画の審査、登録、削減プロジェクトの現場審査、四半期調査、警告、削減データの合同審理、審査、発表等の管理制度を構築した。
2007年、COD排出量と二酸化硫黄排出量でダブル減を実現したのは、主に生産過程における排出削減、構造的な排出削減、監督・管理面での排出削減の三大措置が徐々に効果を発揮したことによる。第一に生産過程での排出削減である。通年で都市汚水処理場482ヵ所を新設し、汚水処理能力は一日当たり1,300万t増加し、都市部の汚水処理率は2006年の57%から60%に上昇し、2,700社の重点工業企業が廃水深層処理設備を新設した。345台、合計設備容量1億2,000万kWの石炭脱硫設備が建設され、運行を開始し、脱硫設備の合計容量は2億6,600万kWに達し、火力発電設備全体に占める比率は2006 年の32%から48%に上昇した。焼結機の煙脱硫、原料炭ガス、ガス精製硫黄回収等の設備を建設した。第二に構造的排出削減である。立ち遅れた製紙会社2,018社を休業させ、化工企業約500社、紡績染色企業400社を閉鎖した。小型火力発電設備1,438万kWを停止させ、粗悪なセメント5,200万t、粗悪な製鉄能力4,659万t分、粗悪な製鋼能力3,747万t分、板ガラス650万ウェイトケースを淘汰した。第三に監督・管理面での排出削減である。クリーン生産審査の強化を排出削減促進の重要な手段として、電解マンガンなどの重点業界におけるクリーン生産の審査と環境管理を強め、クリーン生産管理者・技術者2,746名を育成し、強制的クリーン生産審査重点企業1,855社を発表した。各地域の汚染排出削減統計、モニタリング、法に則った監督・管理能力はいずれも強化されており、省級環境保護部門の汚染源オンラインモニタリングシステムは次々と完成し、脱硫設備、都市汚水処理場、国家重点モニタリング企業等はネットワークを構築し、企業の排出目標達成水準は安定して上昇した。
コラム
国家環境保護「第11次5ヵ年計画」
2007年11月22日、国務院は『国家環境保護「第11次5ヵ年計画」』(以下、『計画』)を公布した。これは国務院が初めて国令として発行するテーマ計画であり、科学的発展観を深く徹底して実行するもので、経済、社会の環境との調和的発展を指導する綱領的文書であり、中国の環境保護史上、里程標的意味がある。
『計画』は「第11次5ヵ年計画」の環境保護業務の指導構想、業務目標、主要任務、重大措置を明確にした。主な特徴は指標を簡素化し、重点を際立たせ、資金のルートを明確にし、状況変化の内容を盛り込んだことである。内実と実質は以下のように概括できる。一つの指導思想を打ち固め、一つの業務構想を把握し、一つの計画目標を明確にし、一つの能力構築を際立たせ、一つの新たな分野に注目する。指導思想とは、「第11次5ヵ年計画」の環境保護業務をしっかりと行うことであり、その鍵として歴史的転換の実現を加速しなければならない。業務構想とは、重点的な進展を全面的に推し進めることである。計画目標とは、2010年までに二酸化硫黄とCODの排出を抑制し、重点地区と都市の環境をある程度改善し、生態悪化の傾向を基本的に封じ込め、核と放射能環境の安全を確保することである。一つの能力構築を際立たせることとは、環境監督・管理能力の構築作業を積極的に行うことである。高度に注目すべき新分野とは、温室効果ガスの抑制であり、これは第十七回全国代表大会の精神を実行に移すという具体的な表現である。
環境保護に資する環境経済政策の制定
汚染物質排出削減が大きな進展を得るための重要な保障とは、環境保護の歴史的転換の推進に焦点を当て、断固として環境保護を経済発展の大局において全面的に考慮し、断固としてマクロ戦略のレベルで環境問題を解決し、断固としてリサイクルの全過程で環境経済政策を制定することである。第一にグリーン融資政策の制定である。中国人民銀行、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)[3]と共同で『環境保護政策・法規の融資リスク予防の実行に関する意見』を公布し、中国人民銀行と共同で『企業の環境保護情報の共有と関連の問題に関する通知』を発行し、1万8,000社の企業の環境分野における違法情報を銀行の信用調査システムに組み込んだ。不完全な統計データによると、大型銀行5社は国家省エネ・排出削減政策に合致しない企業への融資計39億3,400万元を取り消した。銀監会との間で初めて情報共有協議に署名した。第二にグリーン保険試行ポイントを展開した。中国保険監督管理委員会[4]は『環境汚染責任保険業務に関する指導意見』を発表し、ハイリスク業界の環境汚染賠償保険製品の開発を選択し、市場メカニズムを通して環境管理を強化し、企業の環境リスク予防力を高めた。第三に上場企業の環境保護審査制度を整えた。『重度汚染業界・メーカーの上場または再融資申請に対する環境保護審査業務をさらに規範化することに関する通知』を発行し、環境面で問題のある企業10社の上場・融資を取り下げた。第四に、高汚染、高リスク製品のリストの公表である。190種超の「双高」[5]製品リストを2回に分けて作成し、その品目の輸出税割戻しの取消と加工貿易禁止を提言した。第五に『省エネ環境保護発電配置方法(試行)』、『火力発電設備脱硫電気代及び脱硫設備稼働管理方法』を発表し、財政部と共同で『中央財政の主要汚染物質排出削減専門資金管理暫定方法』、『都市部汚水処理設備網の補助金代替賞与管理暫定方法』を共同で発表し、火力脱硫設備に対して1.5分[6]の発電価格を追加し、省エネ環境保護電力の科学的配置と都市部の汚水処理網建設を促した。第六に、国家発展改革委員会等の部門に積極的に協力し、「第11次5ヵ年計画」期間における小規模火力発電会社の休業リスト、立ち遅れた製鉄企業や立ち遅れた製鋼企業の淘汰リストを作成し、関連部門はアルミニウムや銅の製錬等18の「両高一資」 業界の参入基準を発表し、6回に分けて30項目の主要な「両高一資」[7]製品の輸出割戻税率の削減または取消を行った。第七に、『輸出企業の環境監督・管理強化に関する通知』を発表し、輸出企業の監督・管理情報共有メカニズムを構築した。第八に、財政部門と共同で『環境ラベル製品の政府購入実施に関する意見』と『環境ラベル製品の政府購入リスト』を発表し、政府によるグリーン購入を開始した。環境保護に資する環境経済政策制定を通して、環境保護と経済発展の高度な融合を促すよう努力した。
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[1] 以下、「第11次5ヵ年計画」とする――訳注。
[2] 中国の行政区画の一。特大都市、大都市、中等都市、小都市、建制鎮(=都市編制に入る鎮)といった5レベルに分かれる。
[3] 以下、「銀監会」とする――訳注
[4] 以下、「保監会」とする――訳注。
[5] 高汚染、高リスクであることを指す――訳注。
[6] 「1分」は100分の1元――訳注。
[7] 高エネルギー、高汚染、資源依存性であることを指す――訳注。
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