淡水環境

状況

2007年、全国の地表水汚染は依然として深刻だった。七大水系は全体的に中度汚染で、浙江省・福建省地域の河川や西南、西北地域の河川の水質は良好だが、湖沼の富栄養化の問題が目立った。

河川

 長江、黄河、珠江、松花江、淮河、海河、遼河の七大水系の水質は全体的に2006年の水準を保った。197本の河川407の断面のうち、水質Ⅰ~Ⅲ類の断面が占める比率は49.9%、Ⅳ~Ⅴ類26.5%、Ⅴ類以下23.6%であった。このうち、珠江、長江の水質は全体的に良好で、松花江は軽度汚染、黄河、淮河は中度汚染、遼河、海河は重度汚染であった。

七大水系水質区分別比率

長江水系 

水質は全体的に良好だった。103の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅰ~Ⅲ類の占める比率は81.5%、Ⅳ類3.9%、Ⅴ類7.8%、Ⅴ類以下6.8%だった。主要汚染指標はアンモニア性窒素、石油類、5日間の生物化学的酸素要求量(BOD5)[1] であった。

長江水系の水質状況

 長江の主流の水質は全体的に優だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。
  長江の支流の水質は全体的に良好だった。2006年に比べ、水質はある程度改善した。雅礱江、大渡河、嘉陵江、烏江、沅江、漢江の水質は優だった。岷江、沱江、湘江、贛江の水質は良好だったが、岷江の眉山市区間は重度汚染で、沱江の自貢市区間、贛江の南昌市区間は中度汚染だった。主要汚染指標はアンモニア性窒素だった。

黄河水系 

全体的に中度汚染だった。44の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅱ~Ⅲ類の占める比率は63.7%、Ⅳ類9.1%、Ⅴ類4.5%、Ⅴ類以下22.7%だった。主要汚染指標はアンモニア性窒素、石油類、BOD5だった。
黄河主流の全体的な水質は優だった。2006年に比べ、水質はある程度改善した。山東省菏沢区間、河南省三門峡区間は軽度汚染で、その他の区間の水質は優または良好だった。
黄河支流は全体的に重度汚染だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。伊河、洛河、沁河の水質が優または良好だったほか、その他の支流はすべて汚染が深刻だった。渭河下流域の西安区間と渭南区間、湟水河の西寧下流域区間、汾川の太原区間、臨汾区間、運城区間、北洛河の渭南区間、涑水河の運城区間は汚染が深刻だった。

珠江水系 

全体的な水質は良好だった。33の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅰ~Ⅲ類の占める比率は81.8%、Ⅳ類15.2%、Ⅴ類以下3.0%だった。主要汚染指標は石油類、溶存酸素、アンモニア性窒素だった。
  珠江主流の全体的な水質は良好で、2006年に比べ、明らかな変化はなかった。珠江の広州市区間は軽度汚染だった。
  珠江支流の全体的な水質は良好だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。深セン河[2]は重度汚染だった。
  海南島内の河流では、万泉河の水質は優で、海甸渓は軽度汚染だった。主要汚染指標は石油類だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。

松花江水系 

全体的に軽度汚染だった。42の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅰ~Ⅲ類の占める比率は23.8%、Ⅳ類52.4%、Ⅴ類4.8%、Ⅴ類以下19.0%だった。主要汚染指標は過マンガン酸塩指数、石油類、BOD5だった。
  松花江主流は全体的に軽度汚染で、2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。
  松花江支流は全体的に中度汚染だった。2006年に比べ、水質はある程度改善した。

淮河水系 

全体的に中度汚染だった。86の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅱ~Ⅲ類の占める比率は25.6%、Ⅳ類39.5%、Ⅴ類9.3%、Ⅴ類以下25.6%だった。主要汚染指標は過マンガン酸塩指数、BOD5、アンモニア性窒素だった。
  淮河主流は全体的に軽度汚染だった。2006年に比べ、水質はやや悪化した。
  淮河支流は全体的に中度汚染だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。主要一級支流河川のうち、史灌河の水質は優で、西淝河、潢河の水質は良好、洪河、沱河、溮河、ホイ河[3]は軽度汚染、渦河、潁河は重度汚染だった。沂シュウ泗河[4]水系は中度汚染だった。

海河水系 

全体的に重度汚染だった。62の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅰ~Ⅲ類の占める比率は25.9%、Ⅳ類9.7%、Ⅴ類11.3%、Ⅴ類以下53.1%だった。主要汚染指標はアンモニア性窒素、過マンガン酸塩指数、BOD5だった。
  海河主流は全体的に重度汚染だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。
  海河水系のその他の主要河川は全体的に重度汚染だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。永定河、ルワン河[5]の水質は良好で、北運河、漳衛新河、大沙河、子牙河、馬頬河、徒駭河は重度汚染だった。

遼河水系 

全体的に重度汚染だった。37の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅱ~Ⅲ類の占める比率は43.2%、Ⅳ類10.8%、Ⅴ類5.5%、Ⅴ類以下40.5%だった。主要汚染指標はアンモニア性窒素、BOD5、過マンガン酸塩指数だった。
  遼河主流は全体的に中度汚染だった。老哈河、西遼河、東遼河の水質は良好で、遼河は重度汚染だった。2006年に比べ、西遼河と東遼河の水質はある程度改善し、老哈河と遼河の水質に明らかな変化はなかった。
  遼河支流は全体的に重度汚染、西拉沐淪河は軽度汚染、条子河と招蘇台河は重度汚染だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。
  大遼河及びその支流は全体的に重度汚染で、2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。大凌河は全体的に重度汚染だった。主要汚染指標はアンモニア性窒素、過マンガン酸塩指数、BOD5だった。

浙江省・福建省地域の河川 

浙江省・福建省地域の河川の全体的な水質は良好だった。32の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅰ~Ⅲ類の占める比率は78.2%、Ⅳ類は21.8%だった。主要汚染指標は石油類、アンモニア性窒素、BOD5だった。

西南、西北地域の河川

西南地域の河川 

水質は全体的に良好だった。17の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅰ~Ⅲ類の占める比率は82.4%、Ⅳ~Ⅴ類11.7%、Ⅴ類以下5.9%だった。主要汚染指標は鉛、過マンガン酸塩指数、石油類だった。

西北地域の河川 

水質は全体的に良好だった。28の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅰ~Ⅲ類の占める比率は82.1%、Ⅳ類14.3%、Ⅴ類以下3.6%だった。主要汚染指標はアンモニア性窒素だった。

湖・ダム
 
28の国家モニタリング湖・ダムのうち、Ⅱ類の基準を満たす水質は2ヵ所で、全体の7.1%、Ⅲ類は6ヵ所で同21.4%、Ⅳ類は4ヵ所で同14.3%、Ⅴ類は5ヵ所で同17.9%、Ⅴ類以下は11ヵ所で同39.3%だった。主要汚染指標は全窒素と全リンだった。モニタリングを行った26の湖・ダムのうち、重度富栄養化は2ヵ所で7.7%、中度富栄養化は3ヵ所で11.5%、軽度富栄養化は9ヵ所で34.6%だった。

重点湖・ダムの水質区分

    個数
水系

個数

Ⅰ類

Ⅱ類

Ⅲ類

Ⅳ類

Ⅴ類

Ⅴ類以下

三湖

3

0

0

0

0

1

2

大型淡水湖

10

0

0

2

4

1

3

都市内の湖

5

0

0

1

0

0

4

大型ダム

10

0

2

3

0

3

2

合計

28

0

2

6

4

5

11

比率(%)

0

7.1

21.4

14.3

17.9

39.3

太湖 

全体的にⅤ類以下だった。21の国家モニタリングポイントのうち、Ⅳ類の占める比率は23.8%、Ⅴ類19.0%、Ⅴ類以下57.2%だった。2006年に比べ、水質はある程度改善し、Ⅴ類以下の比率は2006年比28ポイント減だった。湖は中度富栄養化状態だった。主要汚染指標は全窒素だった。
  太湖周辺河川の水質は全体的に中度汚染だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。主要汚染指標はアンモニア性窒素、BOD5、石油類だった。

滇池 

全体的にⅤ類以下だった。草海は重度富栄養化状態で、外海は中度富栄養化状態だった。主要汚染指標は全窒素、全リン、過マンガン酸塩指数だった。
滇池周辺河川の水質は全体的に重度汚染だった。8の地表水国家モニタリング断面のうち、Ⅱ~Ⅲ類の占める比率は25.0%、Ⅳ類12.5%、Ⅴ類以下62.5%だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。主要汚染指標はBOD5、アンモニア性窒素、過マンガン酸塩指数だった。

巣湖 

全体的にⅤ類で、2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。西半湖は中度富栄養化状態で、東半湖は軽度富栄養化状態だった。主要汚染指標は全リン、全窒素、BOD5だった。
  巣湖周辺河川の水質は全体的に重度汚染だった。12の地表水国家モニタリング断面(二つの汚染流入抑制断面を含む)のうち、Ⅱ類の占める比率は8.3%、Ⅳ類41.7%、Ⅴ類以下50.0%だった。主要汚染指標は石油類、アンモニア性窒素、BOD5だった。

その他の大型淡水湖沼 

10の重点国家モニタリング大型淡水湖沼のうち、博斯騰湖、洱海の水質はⅢ類で、鏡泊湖、洞庭湖、鄱陽湖、興凱湖はⅣ類、南四湖はⅤ類、白洋淀、達ライ湖[6] 、洪沢湖はⅤ類以下だった。2006年に比べ、南四湖、洞庭湖、鄱陽湖の水質は改善し、その他の大型淡水湖は水質に明らかな変化はなかった。主要汚染指標は全窒素と全リンだった。
  洱海、鄱陽湖、洞庭湖は中栄養状態で、南四湖、洪沢湖、博斯騰湖、鏡泊湖は軽度富栄養化状態、達ライ湖は中度富栄養化状態、白洋淀は重度富栄養化状態だった。

重点大型淡水湖沼水質状況

湖・ダム名称

栄養状態指数

栄養状態

水質

 主要汚染指標

2007年

2006年

白洋淀

83

重度富栄養

Ⅴ以下

Ⅴ以下

アンモニア性窒素、全窒素、全リン

達賚湖

64

中度富栄養

Ⅴ以下

Ⅴ以下

pH、過マンガン酸塩指数

鏡泊湖

59

軽度富栄養

揮発性フェノール、全リン

博斯騰湖

57

軽度富栄養

洪沢湖

56

軽度富栄養

Ⅴ以下

Ⅴ以下

全窒素、全リン

南四湖

53

軽度富栄養

Ⅴ以下

全リン、全窒素、石油類

洞庭湖

45

中栄養

全リン、全窒素

鄱陽湖

45

中栄養

全リン、全窒素

洱海

40

中栄養

興凱湖

揮発性フェノール

都市内湖 

昆明湖(北京市)はⅢ類、西湖(杭州市)、東湖(武漢市)、玄武湖(南京市)、大明湖(済南市)はⅤ類以下だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。主要汚染指標は全窒素、全リンだった。
  昆明湖は中栄養状態で、玄武湖、西湖、大明湖は軽度富栄養化状態、東湖は中度富栄養化状態だった。


都市内湖の水質評価結果

湖・ダム名称

栄養状態指数

栄養状態

水質

主要汚染指標

2007年

2006年

東湖

65

中度富富栄養

Ⅴ以下

Ⅴ以下

全リン、全窒素

大明湖

56

軽度富栄養

Ⅴ以下

Ⅴ以下

全窒素、BOD5

玄武湖

55

軽度富栄養

Ⅴ以下

Ⅴ以下

全窒素、全リン

西湖

55

軽度富栄養

Ⅴ以下

Ⅴ以下

全窒素、全リン

昆明湖

47

中栄養

大型ダム 

2006年に比べ、大夥房ダムと密雲ダムの水質はやや改善し、于橋ダムの水質はある程度悪化した。その他の大型ダム7ヵ所の水質に明らかな変化はなかった。主要汚染指標は全窒素だった。
  大夥房ダムは軽度富栄養化状態で、于橋ダム等8ヵ所の大型ダムはいずれも中栄養状態だった。

大型ダムの水質評価結果

湖沼・ダム名称

栄養状態指数

栄養状態

水質

主要汚染指標

2007年

2006年

大夥房ダム

54

軽度富栄養

Ⅴ以下

全窒素

于橋ダム

48

中栄養

全窒素

丹江口ダム

47

中栄養

ラオ山ダム[7]

47

中栄養

Ⅴ以下

Ⅴ以下

全窒素

松花湖

44

中栄養

全窒素

董舗ダム

43

中栄養

門楼ダム

42

中栄養

Ⅴ以下

Ⅴ以下

全窒素

密雲ダム

32

中栄養

千島湖

32

中栄養

石門ダム

地下水
 
2006年に比べ、全国モニタリング地区の地下水位は全体的に安定を保っており、深層地下水の水位は浅層に比べ変化が顕著であった。主要モニタリングポイントの地下水の水質は良好からやや劣るものが主で、深層地下水の水質や浅層地下水よりやや優れており、採掘程度の低い地域における地下水の水質は採掘程度の高い地域より優れていた。

地下水の水位 

169都市で地下水位のモニタリングを行った結果、2006年に比べ、モニタリング地区の地下水位は変動が少なく、全体的に安定を保っていた。深層地下水の水位は浅層のそれに比べ、変化が明らかだった。水位変化の明らかな地域は、主に地下水の開発利用率が比較的高い華北、東北、西北、華東地域に集中していた。このうち、華東地域は降雨や井戸の封鎖の影響で、地下水位の回復が明らかだったが、華北、東北、西北地域の地下水採掘は依然として多く、地下水位低下は依然として中心的傾向となっている。
  浅層地下水の水位モニタリングを行った148都市のうち、2006年に比べて、全体的に水位上昇傾向が見られたのは25都市、基本的に安定を保ったのは98都市、全体的に低下傾向が見られたのは25都市であった。
深層地下水の水位モニタリングを行った71都市のうち、2006年に比べ、全体的に水位上昇傾向が見られたのは10都市、基本的に安定を保ったのは40都市、全体的に低下傾向が見られたのは21都市であった。

地下水の水質 

189都市で行った地下水水質モニタリング資料の分析によると、主なモニタリングポイントの地下水の水質は良好からやや劣るものが中心で、深層地下水の水質は浅層地下水よりもやや優れており、採掘程度の低い地域の水質は採掘程度の高い地域よりも優れていた。全国の地下水の水質状況は2006年に比べて変化が少なく、水質に悪化傾向が見られた地域は主に華北、東北、西北地域に集中しており、水質に改善傾向が見られた地域はわずかに点在するのみであった。
  浅層地下水水質モニタリングを行った159都市のうち、2006年に比べ、主なモニタリングポイントで地下水の水質に悪化傾向が見られたのは16都市、基本的に安定していたのは137都市、改善が見られたのは6都市であった。
  深層地下水水質モニタリングを行った76都市のうち、2006年に比べ、主なモニタリングポイントで水質に悪化傾向が見られたのは4都市、基本的に安定していたのは68都市、改善傾向が見られたのは4都市だった。

地下水の漏斗現象 

地下水の漏斗現象が起きたのは全国で212ヵ所あった。このうち、浅層地下水の漏斗現象は65ヵ所、カルスト地下水の漏斗現象は11ヵ所だった。2006年に比べ、地下水の漏斗現象は基本的に安定を維持しており、目立った変化の見られる漏斗現象は、主に地下水採掘の影響が大きい華北、華東地域に分布していた。

重点水利プロジェクト
 
三峡ダム地区 

水質は優で、ダム地区6ヵ所の国家モニタリング断面の水質はいずれもⅠ~Ⅲ類だった。このうち、長江寸灘、晒網ダム、培石断面の水質はいずれもⅠ、Ⅱ類で、長江清渓場、嘉陵江大渓溝と烏江麻柳嘴断面はいずれもⅡ、Ⅲ類だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。

南水北調[8]東線プロジェクト沿線 

全体的に中度汚染だった。10のモニタリング断面のうち、水質がⅡ~Ⅲ類の占める比率は30%、Ⅳ~Ⅴ類は40%、Ⅴ類以下は30%だった。2006年に比べ、水質に明らかな変化はなかった。主要汚染指標は過マンガン酸塩指数、BOD5、アンモニア性窒素だった。

廃水と主要汚染物質排出量

 2007年、全国の廃水排出総量は556億7,000万tで、2006年比て3.7%増だった。COD排出量は1,381万8,000tで、同3.2%減、アンモニア性窒素排出量は132万3,000tで、同6.4%減だった。

全国の近年における排水と主要汚染物質排出量

    項目
年度

廃水排出量(億t)

COD排出量(万t)

アンモニア性窒素排出量(万t)

合計

工業

生活

合計

工業

生活

合計

工業

生活

2005

524.5

243.1

281.4

1414.2

554.8

859.4

149.8

52.5

97.3

2006

536.8

240.2

296.6

1428.2

542.3

885.9

141.3

42.5

98.8

2007

556.7

246.5

310.2

1381.8

-

-

132.3

34.0

98.3

措置と活動

【「水体汚染抑制・改善」重大科学技術プロジェクトの実施】 

環境保護分野への科学技術の投入をさらに拡大し、環境保護事業の後期発展力を充実させるため、中国政府は「水体汚染抑制・処理」(以下、「水プロジェクト」と略)を16の国家重大科学技術プロジェクトの一つとして、『国家中・長期科学技術発展計画綱要(2006~2020年)』に組み入れた。その目的は、「第11次5ヵ年計画」期間における水体の主要汚染物質排出量を10%削減するという目標の実現と、負荷に耐えない河川・湖・海の休養回復に科学的支援を行い、中国の経済発展に制約を与えている水質汚染という重大な問題を解決することである。
  2007年12月26日、温家宝総理は国務院常務会議を開き、水プロジェクトの実施方案を審議し、通過させた。水プロジェクトは湖沼の富栄養化抑制と処理、河川の水環境の総合的整備、都市の水質汚染抑制と水環境の整備、飲料水の安全確保、流域の水環境モニタリングと総合管理、水環境戦略政策と管理という6大テーマ33項目を実施し、「三河」(淮河、海河、遼河)、「三湖」(太湖、巣湖、滇池)、「一江」(松花江)、「一庫」(三峡ダム地区)を重点研究流域とし、統合的に水源から汚染を抑制し、生態回復を核心的技術とし、飲料水源の保護と飲料水の安全保障技術を発展させ、流域の水質モニタリングと警告技術、政策管理メカニズムを刷新した。政府は300億元超を投入して水プロジェクトを支援し、順序に従って漸進するという原則を守り、13年間を費やし3段階に分けてこれを実施し、間もなく中国の国情に合った水質汚染防止改善モニタリング・水質汚染抑制二大技術支援システムを構築し、国家水環境総合管理技術プラットフォームを形成する見込みである。

【「地域制限許可制度」の実施】 

2007年初頭、鉄鋼、電力、冶金業界における多くの深刻な環境アセスメント違反と「三同時」制度[9]の建設プロジェクトに対して、前国家環境保護総局は唐山、呂梁、莱蕪、六盤水の4市及び大唐国際発電股フェン有限公司[10] 、中国華能集団公司、中国華電集団公司、中国国電集団公司の4社の電力会社すべての建設プロジェクトについて「地域制限許可制度」を実施した。2007年7月3日、水質汚染が深刻で、違法な問題が突出している黄河、淮河、海河流域及び長江安徽省区間の白銀、巴彦淖爾、渭南、周口、蚌埠、巣湖の6市、河津、襄汾の2県・市、及び蘭州ハイテク技術産業開発区、邯鄲経済技術開発区、河南濮陽経済開発区、山東省莘県工業園区、蕪湖経済技術開発区の5地区で「流域制限許可制度」を実施した。「地域制限許可制度」を通して、1,162項目のプロジェクトを処理し、このうち400社が停止、249社が生産中止、102社が期限付き処理となった。「地域制限許可制度」は地域の深刻な環境問題の解決を突破口として、際立った環境問題を解決したほか、さらに地域の経済構想の調整と成長方法の転換を促した。

【中ロ共同モニタリングの実施】 

中ロ共同モニタリングは国境をまたぐ河川の環境監督・管理を強化し、中国の責任ある大国としての環境イメージを明確に示すための重要な表現である。両国首相定期会合委員会環境保護分会と中ロ双方が共同で制定した『中ロ国境水体水質合同モニタリング計画』、『2007年度中ロ国境水体水質合同モニタリング実施方案』に基づき、両国は2007年6月と8月に国境の額爾古納河、黒竜江、烏蘇里江、綏芬河、興凱湖で合同モニタリングを2回実施し、その結果は両国の承認を得た。

【「第11次5ヵ年計画」重点流域計画の編制と実施】

国務院は松花江流域、丹江口ダムおよび上流の汚染予防計画を認可し、「三河三湖」[11]、三峡ダム区間、黄河中・上流などの重点流域汚染防止計画を編制し、重点流域や地域環境の管理を実施し、「全面的に推し進め、重点的に突破する」という環境管理・汚染処理構想を実施した。2010年までに、淮河、海河、遼河、巣湖、滇池、黄河中・上流など6つの重点流域の集中型飲料水源地で治水と保護を行い、省をまたぐ断面の水環境の質を大きく改善させ、重点工業企業に全面的で安定した排出基準達成を実現させ、都市部の汚水処理水準を大きく向上させ、水質汚染物質排出総量を効果的に抑制し、流域の水環境の監督・管理や水質汚染警告、緊急処置能力を大きく強化しなければならない。重点流域計画は各重点流域の水質汚染予防業務における重要な根拠であり、流域の経済発展活動は重点流域計画の要求に合致しなければならない。

【河川・湖沼の休養回復】

 河川休養回復の構想は「邦を安んじて国を興す」という中国の重要な歴史的経験に学んだもので、水環境に対する思いやりの重要な表現である。河川・湖沼の休養回復は、最も厳しい汚染物質排出総量抑制制度を実施し、水環境の容量に基づいて発展方法や発展規模を決定するということであり、自然の規律を尊重し、水生態系の自己回復能力を十分に発揮し、環境悪化の状況を徐々に改善させ、工学的、技術的、生態的方法を総合的に活用し、水環境処理力を強化し、水生態系の迅速な好循環への回復を促し、法的、経済的に必要な行政的手段を十分に活用し、排出規制と合理的開発への大きな圧力を形成し、さらに水環境処理への積極的な動きを形成し、効果の高い方法で長期にわたって蓄積された環境問題を解決するということである。
  河川・湖沼の休養は、水環境の総合的管理への道であり、経済の健全な成長への道でもある。河川の休養回復を実施するとは、経済成長の方法転換を促し、科学的成長の道を歩むことであり、環境インフラの大成長を促し、汚染物質排出総量を断固として抑制し、自然の規律を尊重し、思いやりをもって治水を行い、国民に水資源を大切にすることや水環境保護の偉大なる自覚をもたらすことである。環境参入の厳格化や、立ち遅れた生産エネルギーの淘汰、汚染の全面的防止、総合的手段の強化、国民の参加奨励などの措置を通して、20年後、あるいはより長い期間の努力を経て、河川・湖沼の水環境の質を大きく改善させ、河川・湖沼の生態系の好循環を取り戻し、持続可能な発展への全面的調和に向けて確固とした基礎を打ち立てる。

【「三湖」水質汚染防止業務座談会の開催】

 2007年6月30日、国務院は江蘇省無錫市で「三湖」水質汚染防止座談会を開催した。温家宝総理は席上で、「三湖」治水のうえで出現した新たな状況や問題に基づき、経験と教訓を真摯に総括し、「一湖一政策」の方針をとり、「長期と短期を結びつけ、根本的対策と局所対策を同時に行い、分類指導を行い、その土地に合わせた方策をとり、科学的計画を立て、総合的に治水を行い、指導を強化し、しっかりと実行する」という指導方針を実行に移し、藍藻の再度の大繁殖を的確に防止し、構造調整力を強め、汚染処理施設の建設を強化して正常な運行を確保し、農業の面源汚染を厳しく抑制し、生態治水プロジェクトを積極的に推し進め、汚染処理への投資を拡大し、科学技術の支援的役割を強化し、各方面の協力をさらに強め、環境法規執行に対する監督を強め、汚染予防・処理の責任を適切に実行するよう指摘した。

【飲料水源地保護業務の強化】

 飲料水源は人々の生命の安全を確保する上で重要である。国務院は『全国都市飲料水源安全保障計画(2006~2020年)』を審議、通過させ、飲料水源保護業務の実施を指導した。環境保護部門は『全国都市飲料水源地環境保護計画』、『全国地下水汚染防止計画』を編制した。飲料水源地保護を「違法な汚染排出企業を整頓し、大衆の健康を保障する環境保護専門活動」の重要な内容として、飲料水源一級保護区内の汚染排出口を取り締まり閉鎖させ、二級保護区内の違法な汚染排出行為を法に則って厳しく取り締まった。専門調査を組織し、県級以上の都市の集中型飲料水現地の保護状況を確認し、飲料水源保護区の区分と技術的規範を発表した。

コラム

「五大戦役」

 2007年7月4日、前国家環境保護総局は違法行為が目立つ流域に対して「流域制限許可制度」を実施し、重点湖沼の水環境総合整備の強化、重点流域の水質汚染防止業務の強化、工業汚染予防止業務の深化、農村環境保護業務の推進加速の5項目の重点業務を打ち出し、環境法規の執行を適切に強化するよう求め、この「五大戦役」をしっかりと戦った。
  ――立ち遅れた生産エネルギー淘汰の任務が完了していない地域や、環境面での違法行為が目立つ地域、総量指標超過や重点プロジェクトが目標要求に達していない地域、都市汚水処理施設の建設が深刻に停滞し、資金徴収政策が行われず、汚水処理工場完成後一年以内の処理水量が設計能力の60%に達していない地域、及び汚水処理施設は建設したものの理由なく操業されていない地域に対して、いずれも「地域制限許可制度」を実施し、違法行為を厳しく取り締まり、重点流域水質悪化の傾向を全面的に食い止めた。
  ――「長期と短期を結びつけ、根本的対策と局所対策を同時に行い、分類指導を行い、その土地に合わせた方策をとり、科学的計画を立て、総合的に治水を行い、指導を強化し、しっかりと実行する」という指導方針に則って、様々な湖沼治水の重点と難点に対して、「一湖一政策」の治水措置をとり、重点湖沼の富栄養化深刻化の傾向阻止に努力した。
  ――松花江流域の水質汚染防止業務会議で打ち出された休養回復政策をその他の重点流域にも適用し、厳しい環境参入や、立ち遅れた生産エネルギーを淘汰し、汚染を全面的に防止し、総合的手段の強化や大衆の参加奨励等の措置をとり、流域環境の管理を強化し、流域環境の持続的な悪化傾向を効果的に食い止めた。
  ――汚染の排出削減という中心的任務に焦点を当て、工業企業の合理的配置、工業園区の建設と管理、立ち遅れた生産能力の淘汰、工業生産環境における隠れた安全面での問題解消、有毒・有害物質の汚染防止、環境への監督・管理能力向上等の分野で研究と配置を行い、工業汚染防止をさらに強化するうえでの財務・税制、価格、融資、投資、貿易などの政策措置を打ち出した。工業企業に対する汚染物質の排出総量抑制と汚染物質排出許可制度を強化した。
  ――社会主義新農村建設の要求に基づき、都市と農村の環境保護を全面的に手配し、農村の飲料水源を重点的にしっかりと保護し、生活排水とゴミを適切に処理し、家畜の大規模養殖による汚染を積極的に防止し、全国の土壌汚染の現状調査を真摯に行った。

------------------------------
[1] 以下、「BOD5」――訳注。
[2]「セン」は土へんに「川」――訳注。
[3]「ホイ」はさんずいに「会」――訳注。
[4]「シュウ」はさんずいに「述」のつくり――訳注。
[5]「ルワン」は木へんに「欒」――訳注。
[6]「ライ」は「来」の下に「貝」――訳注。
[7]「ラオ」は山へんに「労」――訳注。
[8] 南方地域の水を北方地域に送り慢性的な水不足を解消するプロジェクト――訳注。
[9] 新設、改造、増設する事業において、汚染防止のための施設を主体工事と同時に設計、建設、操業しなければならない制度――訳注。
[10]「フェン」はにんべんに「分」――訳注。
[11]「三河」(淮河、海河、遼河)と「三湖」(太湖、巣湖、滇池)を指す――訳注。